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01/24/2012

ソーシャルなビジョン形成

ブログに連載しているように、今じっくりsocial change model of leadership developmentの本を読んでいる。その中で、集団・組織の共通目的の形成方法について書いたくだりがある(p.244以降)一つはジョン・コッターが想定しているように、一人のリーダーがビジョンを持っていて、それをまず少数のコアメンバーで共有し、続いて集団全体に広げるための作戦を立てるというタイプ。この場合、最初の一人のビジョンがコアメンバーの誰をも納得させるほど素晴らしいものであればいいのだが、コアメンバー(になる人)が反論しても聞こうとしなかったり、修正を拒絶していると、このビジョンの浸透は暗礁に乗り上げる。
 もう一つはsocialized visionとも言うべきタイプで、全メンバーがビジョン形成に何らかの形で関わる。合意形成までは大変だし厳しい決断も必要になるときがあるが、メンバーは自分も形成に関わったものであるのでヨリ自然な形で実行に加われる。
 この本は学生団体やNPOのような組織を念頭においてリーダーシップを論じている(しかしその多くの部分は企業にも応用可能であると主張する)のだが、振り返ってみると、このソーシャルなビジョン形成は、われらがBLPのビジョン形成過程とぴったり一致するように思う。特に2005-2007年くらいは教員はもちろんSAや受講生も全員が毎週試行錯誤している状態で、それに苛立った企業出身の教員の一人に「もっとはっきりしたビジョンを打ち出してくれ」と私に迫ったり、呆れてミーティングに来なくなってしまう教員も居た。
 しかし「打ち出してくれ」と言われても私の頭の中にはモデルはなく、日本のどこを探しても他に誰もやっていないことなので他所にもモデルはない(いまになって、90年代から米国で盛んになったstudent leadership programからは学べるものが多いと気づいたが当時は知らなかった)。そこで、しかたがないので「経験を積んでから振り返りでまとめるほうが良さそうだ」とか「企業から課題をもらうと学生の意欲が高まるんじゃないか」とか、企業研修やMBAや成人学習理論を眺めて、若い学生にも良さそうと思われるものを選んで片端から試す日々で、アイデアは教員・SAはもちろん、受講生からもらうこともあった。その結果として、「企業に対しても、教員に対しても臆せず提案する」という気風が学生の中にも生まれたし、粘り強くつきあってくださった教員の方々も手作り感を充分に(?)味わえたのではないかと思う。その中で発揮されるリーダーシップは、コッター風の、ビジョンを持って降臨するリーダーのものであるよりは、もっとソーシャルなもので、高橋俊之さんの命名してくれた「リツイートするリーダーシップ」とも大いに共通するものがある。「最近入学してくる経営学部生は、BLPはできあがったものとしてとらえている人が多い」という卒業生の指摘を受けたことがある。それはまずいのである。学生を含めた全員のアイデアで作り上げていくものという習慣は是非今後もBLPで維持していきたいので、それを維持する仕掛けも考えたい。
 

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Alex Teh, Common Purpose, in Susan Komivez et.al.(eds.), op.cit,(読書ノート)

大学生は学内外で多くのグループ・組織に属している。良いグループ・組織はいつも「我々はなぜここにいて、何をしているのか。我々の共通の目的は何か」を自ら問い、答えられなくてはいけない。

"Common purpose"には三つの要素がある。
vision/ aims/ value
vision=その組織の理想的な将来像は?
aims=その組織はなぜ存在しているのか?
value=組織のvisionを実現するために自分やメンバーをどのように扱うと合意しているか

メンバーを結束させる良いvisionがないと、成功した大企業でも凋落していく要因になる(Kotter)。

異なるvalueをもつ組織出身の人々に、はっきりと口に出してvalueが異なっていることを認識させるのは優れたリーダーの仕事の一つである。

common purpose、特にvisionはどこから来るのか?
Howell(1988)によればその源泉には二つのタイプがある。
1) personalized vision
責任者(person in charge)が自分のdreamやvisionを持っていて、それをグループ内で共有する。良いvisionであればこれに参画するのに労をいとわない人々を募ることができる。これは大学の多くの授業の初日のやり方に似たアプローチとも言える。
2) socialized vision
グループメンバーがビジョン作りに貢献する。これは必ずしも各自が持っている個人ビジョンがグループビジョンに反映されることを意味せず、むしろ全員が一緒にグループビジョンを作ることにinvolveされることを意味する。一緒に作ることで、メンバーがcommon purposeに向かって多くのinvestment and commitmentをするようになる。[これはまさにBLP教員団・SA団のめざす状態]

大学の授業初日もこの要素をとりいれたほうが、学生の参加意欲が高まる。もちろん学生の要望を全部容れる必要はないが、要望を聞く過程でクラスがグループとしてinteractし始める。

common purposeを作る過程でどの程度consensusを重視するかにもバラエティがありうる。またconsensus自体も全員一致でなくても、全員がvoiceし終えて、common purposeの実行を支持できることが重要。合宿やアイスブレーカーが有効なときもある。Tシャツやスローガン作りも注意深くfacilitateすれば役に立つこともある。

common purposeを作るための討論を経ていると、その後一緒に働きやすくなる。これは個人的な経験を共有したり相手の話をよく聞いたり、厳しい決断をしたりというステップが全員にとって重要な学習になるからである。

1)のpersonalized visionは、それを他のメンバーに伝える過程で、もともとそのvisionを持っていた人が、他人の意見を聞かなかったり、他人の意見によって元々のビジョンを多少とも修正する気がないときには困難に直面しやすい。他方、2)のsocialized visionも、そうしたビジョンを作る仕事が途方もなく難しいと思えるときには機能しない。さらに、年々メンバーのかなりの部分が入れ替わるような組織(学生団体など)の場合には、別の困難があるが、新メンバーに対して常に意識的にこれまでのビションはどうであったかを伝えるとともに、新メンバーがそれに違和感をもっているならすぐそれを共有することがその組織の将来にとって重要であることを周知しておく必要がある。

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01/11/2012

Jordan England, Collaboration, in Susan Komivez et.al.(eds.),op.cit.(読書ノート)

コラボレーションは仕事を効率的にやりとげるためだけでなく、自分や他人について学ぶための強力なツールである。

多くの人が効率のためには競争が良いと考えてきたが、Kohn (1986) のようにコラボレーションのほうが競争より良いときがあると主張する論者が増えている。

cooperationとcollaborationの違い。collaborationは共通の目的を達成するために協力することであり、cooperationは目的は各人異なっていても譲りあう(ないし交換する)ことで目的を達成することを指す。

collaborationの過程でdiversityは(存在するだけでは充分でないが)group thinkを防ぎ、非常に大きな役割を果たす。[質問会議で「一見馬鹿な質問が功を奏することがある」というより、diversityを活用しようというほうが分かりやすいのではないか。]

collaborationのために必要な個人のcompetencies
・personal work 自分自身の価値観や感情を自覚していることが必須
・building trust グループのメンバーが決まった時点ではそれぞれ別のagendaを持っているのが当たり前。しかしそれを放置しておくと対立や不信のもと。これを解消するには、
 1) informal exploring(お互いのバックグラウンド、関心、優先事項、物の見方を知りあうこと),
 2) sharing ownership(struggle over control and ownershipが対立や不信の原因になりやすいので、全員がownershipをもつように工夫する。特にこのことは、positional leaderや、リーダーレス・グループで主導権を握りたがる人によくあてはまる)[ホノルルのAPLPのsilent classでも、「主導権を握りたがる人々」に対して「そんなのはdominationでしょ、leadershipとは何も関係ないわよ」とグッサリ一撃した女性がいた。http://www.mhigano.com/blog/2011/09/silent-class.html のちにこの女性は私の担当したアクションラーニングセッションでも見事なコーチぶり・メンバーぶり?を発揮した。http://www.mhigano.com/blog/2011/12/post-30d7.html],
 3) celebrating(small sucessを皆で祝うことは効果的)[これはKotterの8つの段階にも登場する],
 4) creating powerful, compelling experiences(group processの最初の方でrope courses[perfect squareのことだろうか]やoutdoor challenge tripsの経験を共有すると迅速にtrustが形成される。[経営学部が開設される直前の2005年に、perfect squareを教授会メンバーを対象に実施したのが、まさにこのexperienceであり、また、今思うと経営学部での教員FDの発端だった。http://cob.rikkyo.ac.jp/blp/1413.html また、BL2の学期の初めの頃に同じゲームをやっていた時期もあった。手っ取り早くtrustを形成するには飲み会なんかよりこのゲームを開催するほうが効果的というのも知っていて良いと思う。]

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12/27/2011

Nurredina Workman, Change(読書ノート)

選挙で選ばれる学生代表がchangeをもたらす過程を想定。任期が終わって代表が入れ替わるたびに変革が途切れてしまうのを防ぐのに、引き継ぎ事項を書いたバインダーを用意するというのはsingle-order change。そうではなく、選挙で選ばれた少数の者だけで運営するという体制自体を変えてしまって広い範囲の人々とノウハウを共有しておくようにするというのがsecond-order change(Boyce 2003の応用)。

John Kotterの8段階の適用。2004年コロンビアでコカコーラ工場で、労働組合を組織しようとした従業員の謎の死亡事件で、米国の都会の大学の多くでコカコーラ不買運動。[若者にとっては、企業に就職した場合、Kotter型を経験できるのは相当の時間が経ってから。そうであればむしろ学生時代に一度は経験しておいたほうがいいかもしれない] ただし、large social systemならではの固有の問題はある(境界がはっきりしない、動員がかけづらい等)。

ネットワーク型の組織・社会では、変化はコントロールしづらく、予想外に早く・大きくなることもある。それに対応して、変化を起こそうとする人change agentも、自分がしかけたつもりの変化でもその効果を予測しづらいので、"Learn as you go"という姿勢をもっている必要がある。変化の浸透のしかたにもいくつものパターンがある(濡れた砂型、電線の上の鳥型、イースト菌型、ウィルス型など)。

変化に反対する人々の言い分のパターン
1) その変化の必要性は既に満たされている
2) その変化によって必要性の充足がむしろ難しくなる
3) その変化のリスクは利益を上回る
4) その変化は不要である(なくても困らない)
5) その変化の過程が不適切に行われている
6) その変化は失敗すると予測される
7) その変化の意義を信ずることは、他の価値観と矛盾する
8) その変化を担当している者たちが信用ならない

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Jose-Luis Riera, Applying the Social Change Model(読書ノート)

Jose-Luis Riera, Applying the Social Change Model, in Susan Komivez et.al.(eds.), Leadership for a Better World, 2009.(読書ノート)

Case Study #1: An Inconvenient Truth
州立大学のある市内の貧しい地区での環境教育のプロジェクト
メンバー間の情熱の違い、"Rocking the boat"など。

Case Study #2: Starving for Attention
名門私立大学生が、大学の一部職員の最低賃金についてキャンペーン
[大学でSCMを使用するなら学生のこうした行動も容認する覚悟が必要]

Case Study #3: Clear Haziness
地元に愛されている州立大で大学新聞の写真部門の編集者になり、写真家たちが不適切な写真を自分のFacebookに載せる慣行があるのに気づき、それを直そうとしてベテラン写真家たちと戦う。

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12/21/2011

Kristen Cilente, An Overview of the Social Change Model of Leadership Development(読書ノート)

Kristen Cilente, An Overview of the Social Change Model of Leadership Development,in Susan Komivez et.al.(eds.), Leadership for a Better World, 2009.

Bass(1990)によればリーダーシップ論は古代エジプト時代からあるが、産業革命以降の西欧では、リーダーのポジションについた人が他人をどう働かせるかという問題に焦点が絞られていた。その傾向が大きく転換したのは、1970年代のGreenleafとBurns、それに続く80-90年代のリサーチ、さらに90年代のKouzes&Posnerらの著作以降である。しかしcollaborative leadershipというのは概念化が難しい。そこでリーダーシップはリーダーの行うことである、という定義からリーダーシップは過程であるという定義に移行した。このアプローチを採る場合、リーダーの地位にある者が他の者にどう働きかけるかという考えは捨てて、(組織内に上下関係がある場合でも)全員が[リーダーシップのある]行動をとるべしという考えに変わらねばならない(2000年前後の各種研究)。

こうした研究面での変化を受けて、大学教育においても変化がおきた。1993年米国教育省は大学でのリーダーシップ教育に補助金を出し始め(UCLAなど)、96年にはSocial Change Model of Leadership(SCM)が大学教育界に広く知られるようになった。

SCMは8つのvalueをめざす(図省略)。まずリーダーシップがそもそもchangeのためにある。他の7つのCは3つのレベルで追求される。個人レベルでconsciousness of self, congruence, commitment,組織(グループ)レベルでcollaboration, common purpose, controversy with civility, 社会全体との関係でcitizenship。7つそれぞれについて、knowing (knowledge acquisition), being (attitudes), doing (skills)が明示されている。[常に暗唱するには7つは多そうに見えるが(PMは2つだしKouzesらは5つだ)、3レベル別になっているので実はそう大変ではない。またknowing,being,doingが明示されているのも良い。また、controversy with civilityのところを多少拡張すれば多様性対応・グローバル対応も可能に思える。groupを企業組織に読み替えることも容易である。]

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12/20/2011

Wendy Wagner, What is Social Change?(読書ノート)

Wendy Wagner (2009), What is Social Change? , in Susan Komivez et. al.(eds), Leadership for a Better World.

リーダーシップは「変化」に関するものである。変化をもたらす者のなかに、自分はリーダーであるという意識の者とそうでない者もいる。

この本に書いてあることはビジネスにもあてはまることが多いが、主な想定読者は社会に変化をもたらそうとする学生である。

social changeがcharityと違うのは、(前者が)社会問題のroot causeが何であって、それはどう解決できるかを調べる点である。

social changeはcollaborativeで、カウボーイアプローチ(問題を抱える町に外からカウボーイがやてきて問題を片付けてしまい、町民から成るadminを作ったら去る)ではない。自分の味方を他人に押しつけないことが鍵になる。

social changeは単純ではなく、例えば、「飢えている人に魚をあげるよりも魚の釣り方を教えよう」と言っても「魚の釣り方を学ぶまでの間をしのぐ魚をあげなくてはいけない」。

97-2001の調査のころと違って、学生のあいだのシニシズムは弱まってきて、collective actionの可能性を肯定的に評価している。

social changeに参加する人の動機はさまざま。
a) 自分や家族が経験した問題を解決したいと思ったこと。
b) はみ出し者(marginal)であることが強みを形成して、social change agentになる。
c) making a differenceで満足感を得る。

p.26 social changeに巻き込まれる前からリーダーである人は稀である。social changeのさなかにリーダーになっていくのであり、その意味でsocial change agentはやりながら学ぶことを喜んで実行しなくてはならない。また、初期には影響力が小さすぎて無力感をもつかもしれないが、影響力もchangeを行いながら徐々に拡大するものである。

p.29 陥りやすい間違い
1) 共同体に何かが欠如していて、それを補うのが使命であたら思い込む(deficit-based perspective of the community)こと。他に比べて何かが欠けているからそれを補おうという発想を逆転して、どんな資産を現状で持っているかを考えるほうがいいことが多い。
2) Seeking a magic bullet=quick fixを求めてしまう
3) Ignoring cultural differences
4) Avoiding the potential pitfalls

p.32 Socially resposible leaderhship
メンバーへの責任と社会への責任の両方

p.38 最良のリーダーシップ開発方法は、経験と振り返り。Kolb (1981)によるjornal writing法がよい。
1) concrete experience
2) reflective observation
3) abstract conceptualization
4) active experimentation

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12/03/2011

ホノルルで質問会議(アクションラーニング)

 ホノルルは雨期に入って、ほぼ毎日のように少しずつ雨が降る。夜は気温が下がるので、短パン半袖では寒い日も多い。しかし雨は長くは降らないし弱いのでカサをさす人はあまり居ない。雨のあとに晴れ上がることも多い。英国の湖水地方出身のBarkerさん(APLPの責任者)は故郷の気候との類似性を感じるのだろうか、自分にとっては11-12月がベストシーズンだと言っている(短期間にビーチや山の景色を楽しみたいという人には、はやり乾季4-9月のほうがいいのかもしれない)。
 さて、9月に、映画「12人の怒れる男」における質問の使われ方という形で予告篇授業をおこなっておいたアクションラーニング(質問会議)を、今週日曜と月曜に、学生を対象に実施した。目的は、リーダーシップのための質問力の養成。学生たちは、前にも書いたように平均年齢31歳、22カ国から来ている42人(の中から希望した者)。全員働いた経験があり、学歴としては修士・MBAが普通でPhDやMD(医学博士)もいる。共通言語は英語で、ネイティブは半数強くらい。
 今回の実施設計としては、全日程二日間で、初日に4-6人くらいでまる一日かけてコアメンバーを養成する(本当はこのコアメンバー養成だけで2日間くらいはあったほうがいいが今回それは不可能)。そして翌日はコアメンバー1人につき4人の新メンバーがついてセッションを4つ行う。人数は前日まで分からなくて辛かったが、初日は結局5人。なので、一応は20人まで収容可能な体制ができて、事前の調査で14人手を挙げていたのが結局10人だったので、3グループで済んだ。シニアコーチが全体で共有するときのことを考えると、このくらいの人数(テーブルごとのコーチを含めて15人)までのほうがやりやすい。タイミングが最悪(朝一番に重大なレポートの締切がある当日とその前日)であったのにもかかわらず、適切な人数だったのは良かった(Barkerさんの人数の読みも正確だった)。
 初日は日曜午後。参加してくれたのは、米国、クックアイランズ、インド、中国、マレイシアの学生。最初の三人はネイティブだ。最初にスライドで30分ほど導入し、あとは50分のセッションを1つ、日向野がコーチとして行い、そのあとは希望者がコーチになって、結局13時から19時まで6時間、小休止をはさみながらおこなった。翌日はこの5人が核になり、3つのテーブルに5人が分かれて入るという、結果としては結構恵まれた設定になった(グループの中に経験者が二人いると質問の質が断然高くなるだろう)。二日目のほうはノンネイティブの比率がぐっと高くなった。
 コアメンバーの一人で普段はエモーショナルでクラス内で多少浮いているところのある米国の女子学生が、コーチ役になるとメンバーの表情を読むのが抜群に上手く、非定例介入を毅然としておこなうという新しい面を見せてくれたのが嬉しかった(私がヒラのメンバーとして加わったセッションでは、私の本質的な質問について、「Miki、あの質問、もう少し後だったらもっと良かったかも」と後でコメントしてくれた。同じくコアメンバーの中国の学生は夏ごろからこの講座に関心を示していて人一倍熱心だったのだが、クリアに短く表現するのが苦手なのか初日にはセッションのメンバーとしては苦戦していた(しかし後日、昔の航法で太平洋をカヌーで渡るので有名なNainoa Thompsonのスピーチセッションでは早速エドガー・シャインの質問法を使って安全を確認したうえで質問していた。)
 二日目だけ参加した学生も、ランダムにテーブルに座ったので、同じクラスで8月から同じ寮にいるとはいえ余り親しくない学生もいる中で結構個人的な問題を提示していて、アクションラーニングの効能(とくに問題解決面)を実感していたようだ。チームビルディングに役立つという面も、多くの人が驚いていて、コアメンバーの一人のクックアイランズとマレイシアの学生は「アクションラーニング自体面白いし、今年の学生の何人かは仕事でハワイに残るので、今コーチ研修をうけておいて、来年の学生のセッションのコーチになれば上下を結びつきもできますよね」(これはまさにBLPでSAがおこなっていることに近い!)と、いま候補探しの活動中。近々私も参加して追加セッションをおこなう予定だ。
 終わってから翌日以降に個人的にフィードバックをくれた学生も何人かいた。その中で、二日目から参加した米国人は、「この方式のセッションの良さを明確な形で示すには、第一セッションはアクションラーニング方式でなく普通の会議にしてみたらどうですか?」と意見をくれた。これは面白い提案。実施にはいろいろ工夫が要るけれども、うまく実行できればデモとしては凄いだろう。コアメンバーの一人のインド人(医師)は、「Miki、三つ直すところがありますよ」と言う。(1)How to better ask questionsという題名だと、一日で質問が上手くなると思い込んで参加してがっかりされる危険があるのでLearning outcomesをもう少し正確に表現したら? (2)前のと関係するが、ツールのパッケージではなくてプロセスを経験することが主眼であることをもっと強調してはどうか? (3)シャインの四つの質問のどれを今尋ねるべき時間帯かをテンプレートに追記してしまってはどうか?
 (3)はすぐ実行できる。(1)(2)は題名をHow to practice asking (better) questionsに変えることから始めようか。
 こんなに建設的なフィードバックをもらえて、しかも授業時間外にも追加セッションやって次世代に繋ぎましょうなどという提案まで出てきたので、初回としては大成功だったと言っていいと思う。授業時間枠をくれたうえにメンバーとして自らも参加してくれたBarkerさん、二日間合計11時間参加したコアメンバー、締切明け寝不足状態なのに長時間参加した他メンバーに感謝。

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11/12/2011

アクションラーニングの賞をいただきました

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11月10日、立教大学経営学部BLPは、日本アクションラーニング協会の2011年度エクセレントプログラムアワードをいただいた(アウォードのほうが英語には近いと思うけど、というのはあまりに学者的なツッコミなのかも)。2008年冬から協会の認定ALコーチ養成講座を受講し始め、その後かなりの手間と時間をかけてBLPに導入してきただけに、大変嬉しい。最初このお話があったときは、いままでの受賞者が全て企業であっただけに、大学のプログラムに授与されるとのことで驚いた。しかしこれまでこれまで何回も書いてきたようにプロジェクト型の授業(project-based learning)での指導には適切な質問で介入することは非常に効果のある方法で、それだけに適切な質問をおこなうスキルを磨くことが重要になる。協会が推進している質問会議は、適切な導入と振り返りを付与することによって質問力養成の強力な環境になり、さらに私は、英語での質問会議の練習は、日本人が多国籍企業チームの中でリーダーシップをとるために効果的なのではないかとも考えている。質問する英語のほうが主張する英語よりはるかに語学的には容易であるし、質問会議では短い質問のほうが良いとも言われているので、敷居はさらに低くなる。今後は、こうした、非ネイティブスピーカーが質問力によってグローバルリーダーシップを発揮する練習という方向を強化していきたいと考えている。


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10/31/2011

ロンドンでリーダーシップの学会に参加してきた

 International Leadership Association (ILA)という学会の年次総会がロンドンで開かれたので参加してきた。ロンドンではごく限られた範囲しか移動しなかったのだが、その範囲内(ウェストミンスター駅、ウォータールー駅、議会、ベーカーストリート駅周辺など)では議会の周辺にテントを張って座り込み(寝込み)して抗議しているらしい人たちがいた他は、何も目立った暴動の痕跡は見えなかった。
 さてこの学会だが、学者も数多く参加していたものの、割合としては実務家がかなり多いのが目立った特色のようだ。それを反映してか、分科会各会場の雰囲気が非常にフレンドリーで、偶然隣に座りあわせた人が(ワークショップでもないのに)自己紹介してくることが多くて最初はびっくりした(これは学者中心の学会ではあまり起きないことだと思う)。そうしているうちに何人かに一人は非常に有益な情報を交換できる人がいたので、共有を重視する場合にはこれも理にかなったことなのだろう。800人余りの参加者が十数個の分科会に分かれる時間帯が多いのだが、同じテーマの分科会会場を選んだということはそれだけである程度関心の重なるところがあるわけだ。
 この学会は日本人がもともと非常に少ないようで、それらしい人(アジア系の人で、群れている人たちw)を全く見かけなかったし、分科会で私が手をあげて発言するとやや驚かれ、また歓迎されるのが分かった。日本から来る人が少ないのは日本の大学の学部レベルではリーダーシップ関係の科目、特にリーダーシップ教育(開発・発達支援)の科目がまだ少ないことの反映かもしれない。しかしこの学会には学部レベルのリーダーシップ教育の分科会がいくつかあったので可能な限り顔を出してみた。そこでまず気付いたのは、特に米国の学部レベルでは経営学やビジネスとはリンクの薄い(大きく分けると社会起業に近い)リーダーシッププログラムがかなり普及していることだ。学部後半の専攻(major)や副専攻(minor)としてリーダーシップを選択できるような大学はデュケインの経営学部など少数の大学だけなのだが、もっと低学年で、特に一年生だけの科目としてであれば数が多いようだ。また、そうしたプログラムの運営にStudent Affairs(日本でいえば学生部に近い)が関与することが多いのにも気付かされた。今回一番長く話し込んだのはジョンズホプキンズ大とバージニア工科大のリーダーシップ教育の責任者だったが、二人とも、参考にしている文献が我々BLPとはかなり違う。例えばジョン・コッターとかウォレン・ベニスは参考にしてないのかと尋ねると「ああ、それはかなりビジネス寄りのリーダーシップですよね」というような反応だ。代わりに数冊参考文献を教わってきた(誰か一緒に読書会やらんかね?といいたいところなのだが当分日本にいないのだった)。経営学方面というふうに最初に限定してリーダーシップ開発の本を探すとコッターやウォレン・ベニスに行くのは(米国でも)普通のことなので今まで気付かなかったのだろう。やっぱり時々新しいところに足を運んでみるものだと思った。

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