パートタイム・リーダーシップ開発者のすすめ
早稲田NEOでの「21世紀のリーダーシップ開発」が始まりました.この講座は社会人向けの120時間の履修証明プログラムで,日本橋コレド最上階の快適なスペースで開催されています.
受講生自身のリーダーシップを開発する授業は全国で増えていますが,このプログラムの特色は,「パートタイム・リーダーシップ開発者の育成」です.なぜパートタイムか?
第一に,消極的な理由つまりフルタイムのニーズがまだ少ない面,フルタイムのリーダーシップ開発者になるには,研修講師にしろ教員にしろまだハードルが高い(ポストもまだ多くない)段階です.
第二に,積極的な理由つまりパートタイムのほうが効果があがる面です.企業内でのリーダーシップ開発者は,人事部関係では研修の内製や講師の手配などに活躍できるのはもちろんですが,人事部と関係なく,それぞれのセクションで,例えばフィードバックの仕方の練習を,自分たちの業務に即して行えれば,それは研修講師の講習よりもその組織にマッチした,実用性の高いものになる可能性が高く,さらにはその組織の組織開発にもなるという強力な効果が期待できるでしょう.これは企業でなく高校や大学でも同じで,高校なら従来の個々の担当教科80%で,新設のリーダーシップ関係科目20%というように教えられる教員は非常に重宝されるでしょう.大学ならば,研究の専門分野とともにリーダーシップ科目も教えられる教員です.私自身,2005年ごろからパートタイム・リーダーシップ教員になったのですが,その後ハマってしまい,立教時代の後半以降は,フルタイム・リーダーシップ教員に変わったケースです.リーダーシップを教えるためにだけやってきた人よりも,他の同僚と同じように専門分野を持っている人のほうが,同僚に対して説得力があり,率先垂範も同僚支援もわかりやすい形で行えます.また,採用のときにも,フルタイムの人よりも教授会メンバーとしても迎えられやすいでしょう.
高校や大学についても,同じメンバーで教員同士でリーダーシップ開発をおこなっていけば組織開発の効果もある点も企業とほぼ同じです.
第三に,第一の理由に関連しますが,組織内リーダーシップ開発(教育)プログラムが立ち上がる過程に注目してみると,パートタイムの人にやってもらって様子をみる(学生や社員が変容するか等)という方法のほうが導入のハードルが低い(駄目そうなら戻れる)ので,導入初期についてはパートタイムの人へのニーズが生じやすいでしょう.特にいま既に高校の教科や大学の専門分野を担当している人のなかにパートタイムリーダーシップ教育の心得がある人が居たら,白羽の矢が立ちやすいでしょう. 逆にパートタイム・リーダーシップ教育の技がある人が他の高校や大学に移るときにも,履歴書の担当可能科目にリーダーシップ教育が追加されることになります.パートタイムで実績があれば,そういう転職のタイミングでフルタイムに転じる人も現れるでしょう.
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