ILA2017Global Conference
今年のILA年次大会はブリュッセル。会場に近いアメリカ系のホテルは高いので、他を探したら運良くGrand Place広場近くの旧市街にアパートが借りられました。写真は窓からGrand Place広場方向を見たところ。奥に広場東端が見えます。キッチンもあるのですが、欧州大陸の場合は自分で料理するより地元の料理に興味があるので、キッチン設備は最小限で良しとします。鉄鍋も持って来ませんでした(来年はフロリダなので必須です)。
以下はfacebookに書いたメモです。
金曜夕方のRoundtableでWaterloo大学のMarc Hurwitz氏とNortheastern大学のStephanie Colby氏から聞いたアンビリーバボな話。グループで行動する魚はshared leadershipを体現しているというのだ。例えば、boldな魚はshyな魚と一緒に餌を取りに行くことが多く、最初にboldが出発するとshyが遅れてついていく。しかしその狩りの最中に危険を感じたshyが急に帰ると、boldなほうも慌てて帰る。行動力という強み、危険に敏感という強みを活かしあってshared leadershipを実現しているわけだ。
他にもいろいろ例があり、彼らが気づいた事例は、動物行動学の研究成果から得ているのだが、動物行動学者はまだshared leadershipの理論を知らないので論文のなかで古いleader-followerという考えに縛られているのだ、という傑作なコメントもあった。
そこで私が考えたのは、この魚と人間の違いは何かということ。人間にあって魚にないのは自意識だろうか? もしそうだとすると、人間がしばしば間違ったリーダーシップをとってしまうのは、自意識という余計な代物をかかえているからだろうか?・・・と書いたらすかさず愛媛大学の泉谷さんが、「覚醒レベルの低いbold(外交的)な魚は、危険も顧みず(感知しない、もしくは感知してももっと刺激を求める)どんどん突き進み、覚醒レベルの高いshy(内向的)な魚は、普段は刺激を受けすぎないように、控えめに行動しているけれど、その敏感さゆえにboldな魚が感知できない危険を真っ先に感知する。そのshyの特性をboldは知っていて素直にフォローする。。。やはり人間がこのようにシンプルに動けないのは、自意識、プライド?すごく面白いです!!!」とコメントしてくれた。
金曜12:15からのセッション。デンバー大学のリーダーシッププログラムでは、プログラムの卒業生と在学生を引きあわせて相互に良い効果をもたらすような機会提供を行なっている。写真のスライドに載っているうちでは、メンターシップは私のゼミでも既に実現しているので、これをゼミだけでなくリーダーシッププログラムを媒介にしてできるのではないかと思いついた。さらにjob shadowingまでできれば最高。なお、フロアからは、自分の大学でもやろうとしたら卒業生の名簿はterritorialなものらしく校友会が名簿を見せてくれなくて参った、という話もあった。(写真は、デンバー大学の職員Mimi Bau氏)。
Leadership Education MIGの金曜の昼食会で偶然隣に座った人がRutgers大学の教員Gigliotti氏で、翌日土曜夕方の彼のセッションを聞きに行ったら、Rutgersでは学生や教職員対象はもちろんのこと、大学のトップや理事会を対象にしたリーダーシップ研修まで行なっているそうだ。企業の役員クラス対象であれば日本でも普通に行われているので、大学のトップが対象になって不思議はないのだが、いつ実現するだろう?
Rutgersはニュージャージー州のNew Brunswick駅近くにあり、1986年にニューヨークに居たときに研究会で発表するために行ったことがある。
土曜夕方のセッションでカナダの3人の教育学の研究者が、小中学校の教員が「教員の重要な仕事の一つは自らflourish/thriveすることである」という主張をしていて非常に面白かった。flourish/thriveのなかみはリーダーシップを発揮し信頼しあって楽しそうに仕事することだという。「教職は聖職である」というアプローチとは随分違う。
次にプレゼンテーションに立ったネブラスカの研究者は、高校でリーダーシップ教育をおこなった事例を紹介しており、Kolbの学習サイクルを重視していた。そこで、手をあげて「高校教員もflourish/thriveすべきだと思うか」と質問したら、「もちろんだ」と答えたのでカナダの人たちは大いに喜んでいた。
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