PBLとしての質問会議
講師として招かれて、ゼミ生6人を同行した昨日のFレックス(福井県大学連携プロジェクト)合宿研修会では、質問会議をいつも以上にPBLの中核にはっきりと据えてみました。ふつうリーダーシップ教育は、「リーダーシップ目標を設定して宣言する→リーダーシップが必要な環境に身をおいてリーダーシップ行動を試みる→終わったら周囲からのフィードバックを受けて、振り返る→次のリーダーシップ目標をたてる(以下繰り返し)」というサイクルで回していきます。
この、「リーダーシップが必要な環境」として、高校や大学なら文化祭や部活、さらに数週間の課題解決プロジェクト、企業なら日常業務や横断プロジェクト等を利用できます。ところが、2-3時間程度で完結しなくてはいけないワークショップですと、時間の制約からグループに分かれてゲームをしてもらうことが多かったのですが、ゲームですと、頓智的要素が必要なことが多く、リーダーシップ行動が見えにくい(他のものの陰に隠れてしまう)うらみがありました。今回講演部分と併せて5時間いただけたので、ここに質問会議を入れてみました。
質問会議であれば、例えば「誰もしていない質問をしてみる」、「黙っている人に問いかけてみる」、「問題再定義で『不同意』という」、「問題提示者が自分の初期の問題設定を誤りを認めて、斬新な再定義を言い出す」等々、典型的なリーダーシップ行動を、少し時間をかけて考えたのちに自分のペースで発揮できるのです。そして、セッションのあとのグループ内の振り返りだけでなく全体共有でも、皆さんがいま経験した会議のなかでリーダーシップ行動があちこちにあったことを確認し共有するようにしました。この工夫によって、リーダーシップ開発としての質問会議という考えが皆さんの腑に落ちたようです。
もちろん、質問会議に適した問題(技術的問題ではなく適応的行動が必要になる問題)を用意する、参加者5-6人につき一人の熟達したコーチを用意する、といった周到な準備が必要なのですが、充分な準備時間と主催者のかたがたの熱心なサポートがあったおかげで理想に近い形で実現できました。立教大学と早稲田大学で始まった「学生ALコーチ認定制度」の成果で、認定コーチ4人と認定受験準備中の2人、あわせて6人の学生に同行してもらいました。Fレックスの皆さん、そして学生コーチの皆さん、ありがとうございました。
| 固定リンク
「01. 教室の内と外」カテゴリの記事
- Zoom as an Equalizer(2020.07.30)
- 魔の11人?(2020.07.22)
- 早稲田大学でのアクションラーニングの歩み(2016年6月-2020年7月)(2020.07.22)
- 双方向ライブ型オンラインのリーダーシップ開発授業開始(2020.05.16)
- またもやPBLの置き場所について(2020.01.19)
「02. 旅行・出張記」カテゴリの記事
- ILAオタワ大会(2019.10.30)
- Community organizingとリーダーシップ(2019.07.10)
- 選りに選って経済学から(2019.07.10)
- カンザス州立大訪問記(10/10)総括(2019.03.11)
- カンザス州立大訪問記(7/10)高校リーダーシップ教育(2019.03.11)
「05. Leadership」カテゴリの記事
- note試運転中(2022.02.23)
- 「心理的安全性」より「衝突安全性」がよいのでは?(2021.10.11)
- Zoom as an Equalizer(2020.07.30)
- ILA理事就任(2020.07.23)
- 魔の11人?(2020.07.22)
「05a. 質問会議/ Action Learning」カテゴリの記事
- 早稲田大学でのアクションラーニングの歩み(2016年6月-2020年7月)(2020.07.22)
- 双方向ライブ型オンラインのリーダーシップ開発授業開始(2020.05.16)
- 早稲田LDPにおけるアクションラーニングの意義(2019.12.28)
- 権限ある人が「権限によらないリーダーシップ」を学びに来る(2019.09.23)
- カンザス州立大訪問記(9/10)質問会議と総括(2019.03.11)
「02j. 日本」カテゴリの記事
- 札幌出張中に地震に遭う(2018.09.10)
- 8週間で「学習する組織になる」には?(2017.09.11)
- PBLとしての質問会議(2017.09.11)
- 大学教育学会@立命館大学大阪茨木キャンパス(2016.06.11)
- APSSA総会@京都(2014.08.19)