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2017年3月の2件の記事

2017年3月10日 (金曜日)

University of Washington訪問記

到着

シアトルのUberは空港から乗ると料金がタクシーとあまり変わりませんでした。他のいくつかの市でも経験しましたが、地元タクシー業者との妥協ないしカルテルでこのルート(空港からoutbound)だけは別料金なのでしょう。今回はブレーキのかけ始めが遅いドライバーで、4.75とかの評価があるわりにはハズレっぽい気がしました。それでも、GPSを使った乗車経路の地図が領収書メールに付いているし、それとカード明細を合わせれば、手書き領収書のタクシーよりはずっと校費認定してもらいやすいです。大学の同窓会で、海外出張談義になると、大企業や官庁に勤める同級生たちは空港からタクシー(やUber)はむしろ例外的で、だいたい出迎えリムジンであることが分かります。タクシーやUberを使うのは、ベンチャー企業や自営業をやっている人と、あとは同年代の大学教員。タクシーだとほぼ常に自腹ですが、機内完徹のあと重い荷物をかかえて階段や町中を数百メートルとか歩くのは、40歳代までで飽き飽きして、やめました。Uberの出現で自費でなくて済むことも増えました。

企業や官庁の人たちにこの話をすると、「大学って教員が海外で事故や事件に巻き込まれるリスクはどうでもいいって考えているんですかね」と驚かれます。私の推論は、だいじにされていないのもそうですが(笑)、海外出張は勤続のご褒美としての「外遊」である(つまり海外出張と海外旅行の区別がついていない)という、古い古い大学職員(および文科省)の海外出張観があって改革が遅れ、大学教員をリスクにさらしているのだと思います。現状では、若い頃から海外に慣れているand/or英語が話せるという教員の個人的能力や、教員自身の情報収集(あの空港は不便・危険だぞ等)のおかげで事故事件にあう率を低くできているだけなのです。

タイムリーなことに今週火曜に市議会が、いま泊まっているシアトル北部の大学付近(U District)の高層化をOKする決定をしたばかりのようで、ゾーニング図や空中写真などが新聞に載っています。下の写真(右下が北)でポツンと高いビルがワシントン大学(University of Washington, UW)の管理棟(UW Towerと呼ばれ、管理部門と看護学・ITなど多数の学科が入っている)です。地元保険会社のSafeco(イチローのいたマリナーズのホーム球場Safeco Fieldを所有していることだけで日本で有名)から2006年に大学が購入し、08年から大学の建物としてreopenした由。そこから写真左上の川まで広がるのが大学キャンパスです。その真中に近い将来ライトレールの駅もできるそうです(いまは川近くの駅があるのみで、そこから歩くとこのタワーはかなり遠いのです)。

シアトル・タイムズの記事

チェックインしたとき朝だったので、掃除済みの部屋は僅かで、入れてもらえたのが2Fの部屋。窓から外を見ると(写真左)「必ずしも治安がいいわけではない」と言われるのもごもっともという風景。なんとなく(たしか)シアトルが舞台の映画Fabulous Baker BoysでJeff Bridgesが住んでいた古くて汚いアパートを思い出してしまいました。翌日も満室近くてダメで、今日になってやっと、眺めがマシで少し静かな部屋に移れた。遠くにシアトルのダウンタウンが見えます(写真右)。ライトレール延伸と再ゾーニングを含む地域再開発計画(既報)が順調に進むとこの辺は様変わりする可能性があります。ホテルもさらに値上がりするかも。


水辺のクッキングスタジオ

こっちの人とクッキングパーティをしようかという話になり、急遽Uberで候補地に来てみたら、水辺で結婚式場とクッキングスクールを兼ねているような場所。ケータリングもスクーリングも無しの単なる施設・場所貸しだと千ドルと言われて諦めたけど、オサレな場所でした。日本のレンタルクッキング&ダイニングは2万か3万でずっと安いですが、そういえば窓の外の景色はあまり期待しないですよね・・・


UWのリーダーシップ教育

きょうはUWのあちこちに居るリーダーシップ教育担当者の横の連携のための集まりにお邪魔しました。全部で20人くらいで半数は教員、残り半数は職員。写真左がアトランタのILAで偶然会ったUWのFrancesca(博士号をもつ職員)で、きょうのミーティングのファシリテータをしています。スライドにあるように、リーダーシップにうっすらとでも関係のあるという認識のある科目担当者、特にきょうはfaculty4名に、「シラバスにリーダーシップという教育目標を明記してくれと言われてどう思ったか」という切り口から感想共有。うまいファシリテータはちゃんとうまい質問を用意しておくもので、これは大変話が弾みました。ビジターであればこそ、こういうときは絶対発言しないと存在価値を認められず、visitした意味がありません。発言したおかげだと思いますが、このあとの個別ミーティングも充実していました。

UWは都市部にある州立大の例にもれず、働きながら勉強する学生が、リッチな私立大より多いようです。一般的には週10時間程度学内でアルバイトするくらいが多いそうですが、しかし週30時間くらい外で(だいたい外食が多いという)働く学生もいると聞きます。そういう学生は金曜が一番忙しいようです。また、カレッジスポーツの選手たちも、競技のために全国を旅行するのでだいたい金曜は移動日で、金曜の授業はとれません。そういうわけで、いま金曜に設定している一般教養レベルのリーダーシップの授業(明日見学の予定)は他の曜日に移すことを計画中だそうです。

金曜のChristina Fongさんの授業は、いままで米国で見学したうちでも最も学生(200人以上!)が集中しているリーダーシップ授業でした。authectic leadershipと透明性がテーマで、Tim Cookeの個人メッセージがケースとして使われていました。200人のクラスでの講義(といってもとてもinteractive)が60分、その直後に20人単位で少教室に別れ、教員一人とTA二人(section leader)がついて分科会60分。分科会のほうはわりと緩いというのか、運営が学生に任されている面がありました。このあとの振り返りでも教員の一人が言っていましたが、任せられるようになってきたのはこの授業が終盤になってきたせい(つまり学生のリーダーシップが発揮されるようになってきた)でもあるようです。来週が最終週です。

分科会がおわると、教員+TA(3人x10+1)全員で授業運営の振り返り。TA(section leader)たちのは受講生にもまして積極的でした。全体会→分科会→運営側で振り返り、という流れは、立教でも早稲田でもよくおこなっていますが、初心者向けの授業でauthentic leadershipまで扱っているのは新鮮でした。TAたちは、賃金はもらっていませんが、事前研修とTA業務について単位が出るそうです。

UWの授業は早稲田(の新設科目)と同じクオータ制が原則で、60分x2が10週間あります。早稲田は90分x2が7.5週間。クオータ制なので、早稲田のリーダーシップの授業にUWから学生や教員を呼ぶのは比較的容易なんじゃないかとたくらみ始めました・・・もともとそういうことがクオータ制導入の目的だったはずですし。

Suica

きょう大学の売店で水を買おうとして、財布を忘れてきたのを思い出した。ダメもとでiPhoneと一緒に持っていたJCBカードを見せたら、学生らしき店員g「Ah,スイカ!」。「中国から来ている留学生なんです」と完璧な日本語。日本に関心・経験のある中国の人の間でSuicaって有名?
JCBカードはもちろんダメだったけれど、鞄の底にあったコイン入れの青カビ付きのクオータ数枚で間に合った。

UWとの提携

タイムリーなことに、いま訪問しているUniversity of Wahingtonが、立教大学の大学間提携校になることがつい3日ほど前に決まったそうです(早稲田もすでに提携中)。
UWのスクールカラーは立教と同じ紫。いろいろグッズを買って帰っても違和感ありません(笑) 

冬から春は確かに雨が多いんですが、夏は素晴らしいと聞きます。9月の新学期から来ると、9-10月あたりとても良さそう。それから、クオータ制(年間4学期制)なので、日本からの留学に便利。例えば、春から夏だけ留学したいという場合、セメスター制(年間2学期制)の留学先だと単位のある授業は1-5月ですから全然受けられないですが、クオータ制ならば、今年の場合で言えば、3/27-6/2(spring quarter)と6/19-8/18(summer quarter)があるので、最大2学期も受けられる可能性があります。おそらく夏は他の学期より授業開講数が少ないかもしれませんが、セメスター制で1個も受けられないより遥かに良いですよね。しかも日本に戻るまで1ヶ月も余暇があります。オレゴンやカナダ西部(バンクーバー・ヴィクトリアが近いしそこからバンフにも行ける)もあるし、カリフォルニアもそう遠くはないので旅行先には困りません。
提携校なので、使わない手はないと思います>立教生・早稲田生

シアトルは経済も上り調子ですね。アマゾンの本社もシアトルに引っ越してきました。アメリカ人のアンケートで住みたい町の上位常連だし、ニューヨーカーが、食のトレンドはシアトルから来る、と注目しているという話もあります。
あ、それから立教はおとなりの州のオレゴン大学とも提携協定を締結したそうです。


シーフード

Universityseafood

ホテルのそばに魚屋があると聞いて行ってみて、その日は鮭のグリル、二日目は帆立の貝柱のバター醤油焼きとエスカレートして来て、今日は土曜でリスクをとれる(お腹を壊しても翌日休める 笑)ので、店内でふと振り返って生け簀で動いていたロブスターを料理することにしました。いままで日本でも一度もやったことがないのですが、基本的に茹でれば大丈夫だろう、と思い切って購入(28ドル)。「このまま持っていく? それとも割って行く?」というから、たぶん生きたままだと茹でる時暴れるからだろうかと思い、最小限の処理を頼みました。きょう知ったのですが、魚屋のことを英語ではseafood butcherと言うことがあるのですね。納得。

Livelobsters

屠殺?してもらって店を出てから、脚やハサミを割る道具がないことに気づき、引き返したら、ワシらならばmeat tenderlizerを使う、と。どうも肉たたき器のことのようでした。「この辺でどこか売ってるとこあります?」「次の通りを左へ行ってハーフブロックすると、金物屋がある」ってことで、金物屋で9ドルの肉たたき器を購入。ロブスターの殻はsurprisingly thinだから粉々に割らないようにね、と金槌を空中に振り戻すしぐさをしていました。でも金槌を下ろして接触した瞬間に減速するような加減とか、スジャータみたいなクリームの容器を開けて開いた瞬間に力を緩めるとかは、日本人はだいたい得意じゃないですか。私もこの肉叩きで難なく綺麗にハサミを割れました。

Meattenderrizer

塩水で茹でています。1ポンド半と聞いていたので、沸騰した塩水に入れて、再沸騰してから20分弱。

参考サイト
http://www.ebisho.co.jp/recipe/personal_recipe.php?recipecode=6
Boling

味付けは何にしようか、レモンか? 醤油か? ポン酢か?といろいろ悩みましたが、何も心配不要でした。ゆでる水を塩水にしたら、それだけで充分。久々にたっぷり堪能しました。これ28ドルで失敗したら嫌だなと思いましたが大成功。店で食べたら倍では済まないかも。殻が大量に出たので、スープをとれるかも。

Boiled
Boiled2
Boiled3


クリッカーとリーダーシップ科目

ワシントン大学の教育関係のFDプログラムを覗いてみたら、クリッカー(Classroom Response System, CRS)の面白い使い方を議論していた。確かに面白い使い方がいろいろありそうだし、昔と違ってスマートフォンやPCからアクセスできるのが当たり前になってもいる。
しかし、アメリカであちこちリーダーシップの授業を見てきて一度も使っているのを見たことがないし、リーダーシップ関係の学会で、公式にも非公式にも話題になったことがないように思う。これは、リーダーシップを教育目標にしている以上、隣の人とディスカッションするのはもちろん、手を挙げて教室全体に向かって意見を言うくらいのassertivenessは当たり前だと考えられているせいかもしれない。
しかし手を挙げることへの心理的抵抗はおそらく日本人のほうが大きい(日本でアクティブ・ラーニングを試みる教員の皆さんが大変なのはそこでもある)ので、リーダーシップの授業の初回ではクリッカーを頻繁に使い、学期の終わりのほうに向かって使用頻度を減らしていくような、補助輪的な使い方ができるかもしれない。

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2017年3月 9日 (木曜日)

「リーダーシップの探求」訳者はしがき予定原稿

Exploringleadership

来月刊行予定のSusan Komives他著「リーダーシップの探求」(早稲田大学出版部)訳者はしがきの予定原稿です。書いているうちに熱くなって予定文字数をオーバーしてしまいました。
「訳者はしがき」をダウンロード

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