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2016年12月13日 (火曜日)

教育現場こそリーダーシップ発揮の場所?

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「埼玉県高等学校等女性管理職の会」の勉強会で、リーダーシップ教育について話してきました。どういう場なのか見当がつかずやや不安でしたが、杞憂でした。というのは、会場に集まっていらした県立高校の校長・教頭先生たちは、「リーダーシップ最小3要素(目標共有・率先垂範・同僚支援)」の話をすると、「それは私たちがいつも教員の間でやっていることそのものである気がして腑に落ちる。修学旅行一つとってもそれがないと実行できない」と反応なさり、大学生だけでなく高校生にこそリーダーシップ教育を、と呼びかけると「それは私たちが目指しているものと同じ」とまでおっしゃる。

おそらく、企業の場合に比べて学校の管理職は権限が弱いので、「権限のないリーダーシップ」がないと日常業務すら回らないのでしょう。考えてみれば大学の教員も同様で、総長・学長や学部長にはたいした権限がありませんし、教員同士はますますそうです。そういう場で何か新しいことが行われるときには必ず教員や職員のリーダーシップが必要で、それが不足するとフリーライダーが生まれたり、さらに不足すると停滞や悪循環が待っています。(それを評して「大学教員は個人商店主なのだ」と自評する大学教員がいますが、リスクもリターンもない個人商店なんてあるのでしょうか) Jim Collinsが、『ビジョナリー・カンパニー特別篇』(2005)のなかで、立法型(⇔執行型)の良いリーダーシップは企業よりもNPO・学校・病院に見られるのではないかと書き、私もそれについてブログで論じていたのを思い出しました。
ちなみに、私自身既に33年も埼玉県に住んでいますし、娘二人は今日の幹事の教員と同じ川越の高校出身でした。また、同行してもらった早稲田の学生二人も、埼玉県立高出身者でとても歓迎されました。そのうち一人が、「リーダーシップ教育を大学で受けて、自分を肯定できるようになったし、高校のサッカー部でレギュラーになれず球拾いだけして嫌な思いだったけれども、高校時代にリーダーシップのことを知っていればあれも部員の同僚支援だというふうに前向きにとらえられたはず」と話していたのも共感されていました。

埼玉県立高校の埼玉県高校教育に与える影響力は、絶大なものがあるだけに今日の会合の反響と熱には、ワクワクさせられるものがありました。

新しく話してみて手応えがあったことの一つは、「アクティブラーニング」を高校に導入しようとすると、教え方に自信があるベテラン教員から「下手に生徒にアクティブに参加させるよりも、自分の教え方のほうが伝達・定着効率が良い」と反論される。しかしこれは教室のなかの効率の話ではなくて、生徒に教室外でも通用するライフスキルであるリーダーシップを身につけてもらう第一歩なんです、と言えば説得力が桁違いに増す、という件でした。


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