タレントとスキル(2012年7月のFacebookより)
企業研修で世界的大手の会社が5月のデンバーのASTD総会に(当然のことに)出展していて、そのブースで「大学生のリーダーシップの測定をウェブ上の質疑応答で行なってくれるようなサービスはないか」と尋ねたところ、思い当たるものがあるので、担当者から連絡させる、と言っていた。昨日その担当者と会って話を聞いた。結論からいうと、やっぱりそう簡単なものはない、ということなのだが、その理由の一つがとても印象的だった。
彼らの提供する測定方法は、リーダーシップに必要ないくつかの要素を、タレント(ポテンシャル)とスキルに二分して個人個人について測定する。そして、スキルにあたるものを伸ばすためのフィードバックやコーチングを行うというのだ。タレント(ポテンシャル)にあたるものは伸ばしたり矯正したりするのは手遅れ(ないしコストがかかりすぎる)のでいわば諦めて、タレントがある人を新規採用する、あるいは昇進候補にすることが第一の目的だ、というのである。その意味では、人材の選別・採用と、それが完了した後の研修のためのツールなのだ。
そうしたタレントは4つくらいに分類されていて、筆頭にあったのは「適応力」だった。何がタレントで何がスキルかについて議論はあるだろうが、こうした見極めというか割り切りをするのは、採算を考えねばならないということ、対象者は社内にも社外にもいる、ということ、この2つが理由だろう。学校と企業は両方の面で違う。さらに、管理職昇進の対象になる年齢(早くて二十代後半か)と大学1年生は十歳違う。この時期の十歳はものすごく大きいので、大学生のリーダーシップ教育(あるいは他のジェネリックなスキルでも)にあっては、矯正・養成不能な部分の想定はもっと緩くとって十代の若者としての成長の可能性に賭けたほうがいいだろう。また、リーダーシップについていえば実は開発は大学時代より早いほうがいい。むしろ大学時代が最後の機会ではないかと思う。早ければ早いだけ「タレント」にあたる部分についても開発の可能性が広がるのではないか。
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