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2016年6月21日 (火曜日)

No leadership, no FD.

大学のFD(Faculty development, 教員の能力開発)が浸透しづらいのはなぜか。基本的にはFD活動の結果、教員の研究能力や教育能力が増進しても、教員の待遇が(とくに教育能力の場合)ちっとも向上せず、FDをさぼりまくっていた同僚と基本的に同じであることが大きい。まだ研究能力のほうであれば、増進の結果、研究成果が改善して、より環境の良い大学から転職のオファーがありうることがインセンティブになりうる。しかし教育能力の増進のほうにそういう可能性はまだまだ少ないのでなかなか意欲があがらない。

しかし、教員という人たちの中には、学生の将来のためになると思えば、待遇改善にはつながらないと分かっていても一工夫してみる人は少なくない。まして、同じ職場の同僚や学生たちと一緒に知恵を出し合い励まし合ってそれができるのであれば、効果も大きくて学部のカルチャーまで変わる可能性がある(思い切って言うが、立教大学経営学部で私が経験した11年間はまさにそれであると思う)。

そうなると、逆にFDが進まないのは、個々の教員の(権限にもとづかない)リーダーシップの不足か、教員組織ないし教員と学生を含む学部組織のOrganization Development(OD)の不足によるところも大きいではないか。例えば、FD担当者が権限を振り回して反発されたり、FD担当者が熱心にFDを説くものの実際のクラス担当の教員とリスクを一緒に取らないので信用されないことがあったり、あるいは教員が「学部が良くなるのでそのリターンは自分に返って来る」という王道を信じられず、目先の利益確保に走る(それを「教員は個人商店」と評する向きがあるが、リスクを取らず固定給をもらう個人商店などあろうか)、などはその典型と思われる。教員個人個人のリーダーシップ涵養と、学部組織の組織開発の関係(代替関係・補完関係?)については、ODとリーダーシップ開発の関係そのものでもあるので、引き続き考えて、また別の機会に。

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