ALE年次総会@DC
今回初めてAssociation of Leadership Educators (ALE)の年次総会に出席している。5年前から毎年行っているInternational Leadership Association (ILA)と比べると、人数は少なめで今回の出席者はたぶん200人程度。ILAでは時々見たアジア人(アジアの国から来た人とアジア系アメリカ人の和)が一人も居ない。私がたぶん唯一である。また、”industry people”つまり教育・研修産業や人材コンサル系の人たちが居らず、大学の教職員が圧倒的に多い。それでも(?)フレンドリーで、隣に座れば自己紹介するのは当たり前という、入りやすい雰囲気がある。
この年次総会は、ALE創立25周年記念大会だそうである。1990年創立というのはよく分かる時期。90年代はアメリカの大学のリーダーシップ教育にとっては画期的な時期で、全国のキャンパスに文字通り爆発的にリーダーシップ教育が広まった時代である。社会的にはリーダーシップが大切ということはもっと前から合意されていたのだが、そのリーダーシップというのは権限・役職を前提にしたものが中心だったのが、80年代に企業で権限と関係のないリーダーシップの重要性が盛んに言われるようになったこともあり、90年代に大学でも教えようという趨勢になってきたと言って間違いではないと思う。80年代までに米国に留学した経験のある人たちの多くは「アメリカの大学でリーダーシップ科目なんて見たことがない」とおっしゃるが、それは時期の違いなのである。(なお、例外的に、米国の軍隊では遥かに前からリーダーシップの経験論的な研究がされていた。リーダーシップスキルの低い将校の部隊では兵士が無駄死にしたり、士気が低かったり、反抗的行動が起きて戦闘力が落ちたりするからである)。
もしかすると今の日本のリーダーシップ教育は、段階としてはアメリカの90年代に当たるのかもしれない。スーパーグローバルについても、リーダーシップ教育という言葉があちこちの大学の構想に登場している。これが例えば「功成り名を遂げた著名リーダーを大学にお呼びして講演を聞き、学生は感想を書いたり議論する」という間違った(効果の極めて薄い)旧式リーダーシップ教育のブームにならないように望む。そのために、徹頭徹尾アクティブラーニングでリーダーシップを学ぶ立教の方式を公開し、全国の大学と共有したい。大学間の教職員と学生の交流をはかり、立教方式を一緒にさらに改善し、いずれはアメリカに対して、そして世界に対して発信できるリーダーシップ教育法を築きたい。今年はその元年である。(7月14日、ワシントンDCでのfacebook投稿より)
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