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2015年1月の2件の記事

2015年1月18日 (日曜日)

ディープ・アクティブラーニング

新しい本(小生は章1つだけ分担執筆)が出ました。松下佳代京大教授編著『ディープ・アクティブラーニング』(勁草書房)です。執筆陣は、松下佳代さん、溝上慎一さん、エリック・マズールさん始め教育(工)学関係の凄い人たちで、一緒に書かせてもらえたのは大変光栄なことです。一昨年に書いた『大学教育アントレプレナーシップ』は、実践報告という面が強かったのですが、今度の論文では、もう少し理論寄りに書いたつもりです。一年近く前の海外出張の時に集中して書いていたものがもとになりました。月末か2月初旬に書店に並ぶそうです。

以下が私の書いた第9章の要旨です。

 1) 新しいリーダーシップを涵養する科目は、自然にアクティブ・ラーニングになる。そればかりか、一般のアクティブ・ラーニング科目も全て、多かれ少なかれ学生の教室内のリーダーシップを前提にしており、学生がアクティブに学ぶための支援は、リーダーシップスキル涵養の科目内容に近くなる。
 2) このことから、アクティブ・ラーニングの新しい定義として「学生のリーダーシップ発揮を通じた学習」が有用である。この定義は学習のソーシャルな面を含み、なおかつ学生支援として何が必要かのリストも作りやすい利点がある。
 3) アクティブ・ラーニングがどれだけディープになるかは、アクティブ・ラーニング支援という補助輪(足場)を外していくことを行なって、学生が学校の外や卒業後も教員の支援無しで学習を組織できるようになれるかどうかにかかっている。
 4) ただし、「内向的」な学生にとっては、学習目標にリーダーシップ涵養が入っていないままでアクティブラーニングを強いるのは、苦痛な迂回としてとらえられる危険がある。逆に、学習目標を明示したうえで内向的な学生にリーダーシップ教育を行う価値は高いかもしれない。
 5) このように、リーダーシップ教育論は、アクティブ・ラーニング論やディープ・ラーニング論にとって、新しい強力なツールである。


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2015年1月17日 (土曜日)

他大学教員をBLP教員としてお迎えします

BLPが新しい企画を始めます。4月からのBLP授業に初めて他大学の専任教員にクラス担当として入っていただくことになったのです。これは各方面で驚くべきこととして受け取っていただいています。「最初に聞いたときわが耳を疑った」とか、「なんとBLPが大学の壁を超えてしまった」とか。もちろん、大学の教員が、自分の本務の大学とは別の大学で兼任(非常勤)教員として教えることは従来でも全然珍しくないのですが、BLPの場合、リーダーシップスキルの獲得を教育目的とした、他の大学には無い科目群(プログラム)なので、大学経営・学部経営としては、他の大学にはない独自のものとして、どちらかというと他にはノウハウを公開しないパテント型の運営をするというのが普通の考えです。しかし、BLPはかなり有名になり、一昨年度あたりから毎週のように参観のかたが訪れるようにもなり、高い評価をいただくようになりました。そこで、我々は、成果目標を「他の大学にないリーダーシップ・プログラムであり続ける」ことから転換して、「日本全国の大学にリーダーシッププログラムがある状態」を新しいゴールとし、そのためのセンターとして積極的にノウハウを公開し普及に努める方向へ舵を切り替えることにしたのです。

そのための具体的な方法として、他大学でリーダーシッププログラムを始める計画がある教員や、アクティブラーニングについてノウハウを交換したい教員に、実際にBLPの科目の教員になってもらいます。特に、BL0,1,2のような、同時に多数のクラスが開講されている科目では、教員やSAが授業直後に一堂に会して授業改善ミーティングを毎週開いていますので、このミーティングにも併せて必ず出席していただいけばお互いに学ぶところ大でしょう。通例、非常勤の教員に授業コマ以外にミーティングで毎週拘束するのは非常識ですが、今回来てくださることになった方々は快諾してくださっています。来年度春学期には、國學院大学と成城大学の専任教員のかたがBL0のクラス担当になることが内定しています(さらに増える可能性もあります)。私は、来年度はBLPのクラス担当からは外れて、いろいろクラスにお邪魔して勉強しようと思っています。

さらに、次のステップとして、BLPの授業で使うスライドをクリエイティブ・コモンズのように公開して、改善提案を求めるような方法も探しています。

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