ディープ・アクティブラーニング
新しい本(小生は章1つだけ分担執筆)が出ました。松下佳代京大教授編著『ディープ・アクティブラーニング』(勁草書房)です。執筆陣は、松下佳代さん、溝上慎一さん、エリック・マズールさん始め教育(工)学関係の凄い人たちで、一緒に書かせてもらえたのは大変光栄なことです。一昨年に書いた『大学教育アントレプレナーシップ』は、実践報告という面が強かったのですが、今度の論文では、もう少し理論寄りに書いたつもりです。一年近く前の海外出張の時に集中して書いていたものがもとになりました。月末か2月初旬に書店に並ぶそうです。
以下が私の書いた第9章の要旨です。
1) 新しいリーダーシップを涵養する科目は、自然にアクティブ・ラーニングになる。そればかりか、一般のアクティブ・ラーニング科目も全て、多かれ少なかれ学生の教室内のリーダーシップを前提にしており、学生がアクティブに学ぶための支援は、リーダーシップスキル涵養の科目内容に近くなる。
2) このことから、アクティブ・ラーニングの新しい定義として「学生のリーダーシップ発揮を通じた学習」が有用である。この定義は学習のソーシャルな面を含み、なおかつ学生支援として何が必要かのリストも作りやすい利点がある。
3) アクティブ・ラーニングがどれだけディープになるかは、アクティブ・ラーニング支援という補助輪(足場)を外していくことを行なって、学生が学校の外や卒業後も教員の支援無しで学習を組織できるようになれるかどうかにかかっている。
4) ただし、「内向的」な学生にとっては、学習目標にリーダーシップ涵養が入っていないままでアクティブラーニングを強いるのは、苦痛な迂回としてとらえられる危険がある。逆に、学習目標を明示したうえで内向的な学生にリーダーシップ教育を行う価値は高いかもしれない。
5) このように、リーダーシップ教育論は、アクティブ・ラーニング論やディープ・ラーニング論にとって、新しい強力なツールである。
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