サンディエゴ大学訪問
去年のILA(モントリオール)で知り合った教員の勤務するサンディエゴ大学(私立)に行ってきました。市内から車(Uber)で15分くらい。丘のうえにある、こじんまりとした非常に美しいキャンパスです。学生の大半は学外から通学していますが、ビーチ寄りのところに固まって住んでいるそうです。ローマンカソリックの大学ですが、教員も学生もローマンカソリックであることは要求されない由。ボストンのNortheasternに行ったときも感じましたが、学生が裕福な家庭出身の人が多い印象を受けたので尋ねてみるとそのようです(授業料も高いほう)。細かいことですがゲスト用のネット接続が非常に高速で、予算を惜しんでいない感じ。建物も豪華です。写真はreflection gardenという、海岸の眺めが良い場所です。
訪問したのはSchool of Education and Leadershipで、これは教育学とリーダーシップという2つのマイナー(副専攻)担当部門の合体した部署。主専攻として選べる科目にはなっていません。学生は一つ以上の副専攻を義務付けられています。リーダーシップを副専攻として選択している学生は全学で現在75名(BLPはもちろん、立教GLPより小さい)。ただ、リーダーシップは大学院のPhDコースも持っています。副専攻なので当然単位つきです。100名くらいまでは収容できるが、1クラス20名以内に収めるには100名超えは予算上無理と言っていました。学内の他の部署でリーダーシップ教育をになっているところとしては、経営学部と学生部。ただ、経営学部は全然違って経験学習の要素無し。学生部はretreat(合宿)をしていて当Schoolと連携。というわけでこのキャンパスではこのSchoolがリーダーシップ教育の中心であり、今回のILA総会の開催担当大学でもあります。他に、場所柄もあるのでしょうが軍との関係も密接で、ROTC(これは多くの大学にある)以外に、G.I.Billで退役軍人が大勢授業に来ているし、リーダーシップの教員にも軍出身者がいます。
授業は2つ続けて見学しました。一つ目は1年生の科目で、18名。先週ちょうどsilent classをやって、その明けの日でした。ここのsilent classは上級篇とも言うべきもので、教員が教室に来ないのです。しかもたまたま先週はいつもよく話す5人の学生たちが偶然欠席だったのでその人たち抜きでどうクラスを維持していくかという試練でした。そこから一週間経って(いや週二回あるとしたらもっと短期間ですが未確認)昨日は、最初はあまり活発でなかったのですが、教員の巧みな質問によって振り返りが進み、後半はI’m super-motivated now!と言い出す学生が出るくらい活発化していました。
2つめは2-4年生のクラスで、ここに来るまでにリーダーシップ論の本をかなり読んできたので、来週の中間テストに備えて復習する回でした。Jengaという積み木のピースを倒さないように一本抜くとそこにリーダーシップ論についてのクイズが書いてあり、引いた人が答えるか、誰かに教えてもらいます。毎週かなりの量の読書をしてきているのでクイズもかなり盛りだくさんでした。このクラスは二人のPhD学生(つまり資格としてはまだ修士)が教えていて、主任の教員が見に来ていました。
この主任の教員は昨年のモントリオールでリーダーシッププログラムの最後の科目をどう組むかという事例紹介をしていました。先行する他の科目と違って、この最終科目は大胆な構成で、シバラスが2行だけです。1)changeを創りだすプロジェクトを自分で組みなさい。2)リーダーシップ持論を書きなさい。これだけ。クライアントを教員が準備してくるといったことは無し。学期まるごとsilent classというか、補助輪完全外しですね。前にも書きましたが、最終科目をcapstoneと考えるとBL4のようになり、社会に出る準備としてのbridgeと考えるとたとえばこのような作りになるということかと思います。この他に、bridgeとしてはバダラッコの本のようなことを疑似体験できる設定の授業が作れるならそれもbridgeとしては大変有効なのではないかと思いますが、それにはどうしたらいいのか私にはまだ答えが見つかりません。
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