APSSA総会@京都
同志社大学で開かれたAPSSA総会に参加してきた。環太平洋地帯の大学で、学生部のように学生を支援している教職員(職員のほうが多そう)の集まりである。アメリカの多くの大学のStudent Affairsがリーダーシッププログラムを持っているように、環太平洋地帯でも同様の大学が多そうだ。
中国の武漢にある大学(全国トップ30に入る超優良大学)のインターンシップの話を聞いてたまげた。インターンシップの授業は、正課(つまり単位つき)で、授業は本採用の選考過程そのものとして使われる。教員も企業から来た特定企業の人である。つまり大学は、特定企業に、単位認定権も成績評価権も渡してしまい、場所も時間帯も貸すのである。大学は給料や待遇のいい「特定企業」をたくさんインターンシップ授業担当企業として引っ張ってくることで学生に就職機会をアレンジすることを就職支援活動の柱とする。学生は内定が決まればこのインターンシップ授業を途中でやめていいが、決まらなければ数学期受け続けることも可能。これほど徹底したというか、柔軟な「授業」は、日本や欧米の普通の大学ではまず考えられないのではないか。
武漢の別の大学の学生部長のプレゼンテーションである。全寮制の中国の大学全てにあてはまることらしいが、classと英訳される「班」は、むしろ日本の小中高の「学級」に近い。寮でも一緒という意味ではそれ以上である。入学時に専攻別に30人ごろに決められ、四年間続く。専攻の授業もこの単位(xいくつか)で受ける。(この班が学年全部集まると「班級」になる)この班単位でStudent Affairsのサービスも受けるので、それぞれの班にStudent Affairsのアドバイザー(プロのカウンセラーではないが職員)がつく。その職員たちのトップが学生部長Dean of Student Affairsということらしい。この方式が学生の状態をモニターするのにも有効であるという。オーストラリアからの参加者から、「その班を嫌いになった学生が居たらどうする?」という質問があったが、班の選択や変更の機会はないという答えだった。
翌日午前中はフィリピンとマレーシアの大学のリーダーシッププログラムのプレゼンテーション。特にマレーシアのほうは力がはいっていて(学長じきじきの指示で5年前に作られたらしい)、目指しているリーダーシップは我々と同じく世界標準のリーダーシップで、主催は学生部。学長は「2016年までに、Top Emplyer’s Top Choice of Universityになる」という明確で後に引けない目標を打ち出しているらしい。Liberal Artsの中にも前からリーダーシップ科目があった(これも凄い)が、それは教室内のものが中心で、学生部のほうは教室外・学外での応用(つまり補助輪無し)が中心という役割分担のようだ。日本の中で、リーダーシップ教育はウチの大学の特徴なので他には波及してほしくないなどとケチな考えでいるとアッというまえにこうした大学に負けてしまう。日本全国の大学・高校でリーダーシップ教育をおこなって国内でも海外でも切磋琢磨するという考えが必要なのだと思う。
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