リーダーシップ教育としてのアクティブラーニング支援
アクティブラーニングとリーダーシップの関係については以前にも書いた。今回は、さらに一歩進めて、アクティブラーニング論にとってリーダーシップの視点は不可欠であるという論文を書いた。ディープ・ラーニングに関する本の一つの章として夏には刊行される予定。以下はその論文の要旨。
1) 新しいリーダーシップを涵養する科目は、自然にアクティブラーニングになる。そればかりか、一般のアクティブラーニング科目も全て、多かれ少なかれ学生の教室内のリーダーシップを前提にしており、学生がアクティブに学ぶための支援は、リーダーシップスキル涵養の科目内容に近くなる。
2) ここから、アクティブラーニングの新しい定義として「学生のリーダーシップ発揮を通じた学習」が有用である。この定義は学習のソーシャルな面を含み、なおかつ学生支援として何が必要かのリストも作りやすい利点がある。
3) アクティブ・ラーニングがどれだけディープになるかは、アクティブラーニング支援という補助輪を外していくことを行なって、学生が学校の外や卒業後も教員の支援無しで学習を組織できるようになれるかどうかにかかっている。
4) ただし、「内向的」な学生にとっては、もし学習目標にリーダーシップ涵養が入っていないままでアクティブラーニングを強いるのは、苦痛な迂回としてとらえられる危険がある。
5) このように、リーダーシップ教育論は、(ディープ・)アクティブラーニング論にとって、新しい強力なツールである。
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