SBIフィードバックの使い道(パロ・アルトにて)
2月中旬に、NGO法人VIAのお招きで、台湾・中国と日本(東大大学院・京大と一橋の学部)から来た学生たちのリーダーシップ・プログラムを参観した。こういうとき米国では、「参観」のはずでも、まず絶対に「参観」では済ませてくれず、最低でもスピーチするか、授業してくれということになる。そう誘わないと失礼と思っているにちがいない。「実は午前中3時間あるので、1時間でも2時間でも使ってくれ」と。
彼らは10日くらいの日程のなかで、昼間の授業や活動のバックグラウンドではずっとチームプロジェクトをやっているようなので、前日のポズナー教授の「5つのpractice」とも少し組み合わせて、プロジェクト最終プレゼンテーションを約30時間後に控えた今日、中間SBIフィードバック(360度フィードバックの簡易版)をやってもらうことにした。BLPで2008年からからやっているものとほとんど同じだが、スタッフを含めて初めてだったらしい。初めてなので、良いほうのフィードバックだけ書いてもらう。20分かけてチームメート分を書き上げて、シートを交換したときは皆真剣そのもので声をかけても顔をあげないくらい熱心に自分へのフィードバックを熟読している。
読んだあと、「自分が得意と思っていることと違う指摘があったか?」という問いかけると、スタッフの一人が嬉しそうに、
「初日に完全に道に迷ったときに動揺したふうをまったく見せずにポジティブにふるまっていたとフィードバックをもらった」
私「それはいつものあなたですか?」
スタッフ「そう、よく道に迷うんです」
私「そこじゃなくてぇ」
スタッフ「友達だけのときは失敗すると落ち込むことが多いのですけど」
私「もしかしてhidden strengthかもしれない」
・・といったやりとりもあり、また、日本からの学生からは「良いことだけを書くのはどうしてですか」とか「フィードバックをくれた人と、あとでもう少し話してもいいんですか」と、非常に的確な質問が出たり、中国の学生から「文化の違いかもしれないが、年上の人にネガティブなフィードバックをすると大変なことになる」という指摘もでて、これについては「必ずポジティブなフィードバックと組み合わせてはどうか」とか「ポジティブで良好な関係を築いてからにしてはどうか」といった学生やスタッフからの反応もあった。
リーダーシップ開発では、リーダーシップ理論や著名なリーダーの話(本人の講話や伝記)と、自分たちの過去から現在のリーダーシップ経験(現在進行中のものを含む)とをどうリンクして理解できるようになるかが肝なので、このSBIフィードバックはちょうど良い機会になったかもしれない。
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