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2014年3月の7件の記事

2014年3月19日 (水曜日)

BLP紹介ムービー2014年度版

経営学部BLP紹介ムービー2014年度版ができました。3年半ぶりの更新です。全体がコンパクトに、スタイリッシュになったかと思います(制作は経営学部4年生です)。

プログラムの科目構成などの大枠はあまり変わっていません。プログラムの細部やコンテンツは毎年変わっています(例えば2012-13年度の最も大きな革新はBL0へのアクション・ラーニングの大規模導入や、BL1の論理思考の改変です)が、それはムービーの中には描写されていませんので、例えば経営学部ウェブサイトの、BLP外部評価委員会議事録をご覧ください。まもなく2012年度版と2013年度版の議事録がアップロードされる予定です。外部評価委員会議事録

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2014年3月16日 (日曜日)

Active learning movement: paratroopers' unexpected rescue

Teaching leadership in Japan eight years ago was like para-trooping. You go down into a hostile area behind the enemy line, get readily surrounded, outnumbered, and cut off. The enemy does not understand the meaning of “emergent leadership,” “relational leadership,” nor “shared leadership”. So you always have to fight for legitimacy of leadership education. But in recent years, strong friendlies are coming from a totally unexpected direction. It is “active learning” movement in colleges in Japan. You need at least some degree of leadership on the part of students for active learning to happen in classroom. Therefore, you have to teach leadership to your students BEFORE they take courses which are supposed to be taught in active-learning way. So now it is legitimate, appropriate and even imperative to teach leadership in high school and freshman year in college.

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職員のリーダーシップ研修

 ハワイ大学に来る直前の2月26日、立教学院職員対象のリーダーシップ開発ワークショップ第一回を実施しました。人事課の公式開催行事ではありましたが業務命令ではなく30人の職員さんたちが自主的に参加し、10人の学部学生がアシスタントとして志願してくれ、卒業生も2名参加して、アクションラーニングを2セッション行ないました。大変活気があり生産的でした。研修終了後、振り返りを共有する掲示板を作ったら、非常に力のこもった投稿が多く担当者としては手応えを感じました。驚いたことにこうした人材開発研修は新人研修以来、長いこと受ける機会がなかったそうです。大学がイノベーティブであり続けるために必要不可欠だと思います。ハワイ大学Student Life and Developmentでは職員が学生を教育する意図が明確にあるし、リーダーシップ教育が盛んな米国の大学では職員がリーダーシップ教育を受けています。キャンパス内の教育とは、教員が学生に対してだけ行うものではないのです。(経営学部ウェブサイトにも当日のレポートが記載されています)

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大学職員の教育上の役割・学生の学内アルバイト

 ハワイ大学に限らず米国の大学では学部学生が大勢学内でアルバイトとして働いています。ジムに行くとそこにいる係員は全員学生。図書館も一部学生。教室の鍵を開けたりプロジェクタをセットアップするのも大半が学生。Student Life and Development (学生部)にも正規職員と机を並べて大勢学生が働いています。こんなに学生に任せて大丈夫なんかいな?と学生部の職員に尋ねたら、「教育上の目的でそうしている」と。「だから彼らが経験不足で失敗したら(実際失敗は多いんですが)、罰するとかクビにするとかではなく、ここから何を学べるか?と言語化するのが第一です」と職員が答えていました。日本でも学内で学生バイトを使う大学は多いですが、職員がここまではっきりと、建前上も実質上も教育を担っているという例は少ないのではないですかね? へたすると、「学生と接するのは教員でなければならない。職員はカウンター越しにのみ学生と応対すべし」みたいなスタンスになって、教員や外部委託企業の社員に学生応対を任せがちではないかと見えます。(関西では同志社大と愛媛大が中心になって職員のstudent servicesを研究するネットワークがあると聞きました)
 リーダーシップ教育については、米国の大学のリーダーシップ・プログラムは経営学部と学生部のどちらかあるいは両方にあることが多くて、学生部のほうは職員(のうち主にPhD持ちの人)が教員役をしていることが少なくないのも、職員も教育に直接関わるという考えからすると自然なことなのかもしれません。もっとも、別の機会にも書いたように、リーダーシップが「専門知識として」教えられるべきなのかどうかについては論争中の大学も多く、そこではリーダーシップ教育の「専門科目としての」legitimacyが問われるわけです。

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2014年3月15日 (土曜日)

大学コンソーシアム京都・FDフォーラム

 パロ・アルトから帰って時差ボケのまま、2月22-23日の大学コンソーシアム京都・FDフォーラムに行ってきた。FD系の催しは関西が多いなと思っていたら、やっぱり「西高東低」だそうで、京都は、今回のコンソーシアムと、もう一つ京大の京都大学高等教育研究開発推進センター、その二つが特に影響力が大きいのだそうだ。東京なんて100人だって集客に困ることがあるのに、今回のフォーラムは1,000人規模だ。たぶん大学教育を改善しなくてはいけないという危機感が東京より強いのと、きょう聞いた説では、ネットワークづくりに関する京都の人たちの熱心さが桁違いなのと、両方らしい。昨日は600人会場と300人会場の並行開催という、東京では考えられない規模の「お祭り」だったが、きょうは50人規模の分科会。こういう場合、どっちか一日ならば分科会のほうが絶対面白いと思う。敢えてBLPそのものを話題にしない「ライティング指導」の分科会に行ってみた。非常に刺激的だった。
 分科会午前中は、一般教育、専門教育、キャリア教育の三つの分野で、日本語ライティングについての授業実践の優れた実践報告。三者三様に非常に面白かった。午後はライティング指導の授業設計をしなさいという課題で教員4人のグループワーク。きょうの分科会では私はBLPのことはほとんど話さず「卒論を書くゼミ生が年々減っていることに悩んで東京からやってきた一教員」として参加した。面白いメンバーに恵まれてユニークな授業・研修設計プランができた。「学生が卒論を進んで書くようになる1泊2日研修」という、9つの班の中でも最も長い(メンバーの一人によると「ライトノベル風」の)題名だった。卒論についての書かされている感、書かずにすむなら書きたくない感を一掃する合宿研修でござる。当然うちのゼミで開催することも念頭において設計(たぶん皆さんそうだったはず)。
 対象は前期または夏休みに3-4年生合同。(1)まず集合直後に「私はなぜ卒論を書くのか」を600字くらいで書いてもらう。おそらく公式答弁感、模範解答感満載で、よく読むとしぶしぶ感もチラ見える文章だろう(笑) それを相互閲覧とフィードバック。(2)そこでOBOGに登場してもらって、自分が企業で企画書を書くときに文章作成訓練をしておいてよかった、文章を作成できる自分だから大きな仕事が回ってきた、あるいはしてなかったから慌てた等々という話をしてもらう(こういうロールモデルは、たぶんあまり苦労しなくても見つかる)。(3)その後簡単な文章作成指導で文章が少しうまくなるというsmall stepを経験してもらう。卒業生が在学生の文章を添削というのもいいかも。(4)最後に再び敢えて最初と同じ「私は何故卒論を書くのか」を書いてもらって、最初の自分の文章と比較し、ピアレヴュー。
 4年生が納得して長い卒論を書くようになればそれは3年生にも伝染するし、目先のことで言えば3年生はエントリーシートも楽勝で書けるようにもなる。さらにライティング指導はBLPで書く「リーダーシップ持論」の書き方にも繋げたい。
 きょうの結びに午前のキーノートスピーカーの一人だった山本啓一さんが言っていた「今日の9つの班のプレゼンはみな学生が自分の経験を社会や歴史につなげるという方向で共通していたが、これは実は教養教育が本来目指していたものだった」には全面的に賛成。また「日本人に日本語を教える日本語教育は、専門家が居らず、みんな素人」という話にも励まされた。リーダーシップ教育の一部としても可能だろうし(既にBL1/3-Cには取っ掛かりがある)、あるいはリーダーシップ教育の次に、必要なら場所を変えて、日本語ライティングのアクティブラーニング設計」も面白いかも。

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SBIフィードバックの使い道(パロ・アルトにて)

 2月中旬に、NGO法人VIAのお招きで、台湾・中国と日本(東大大学院・京大と一橋の学部)から来た学生たちのリーダーシップ・プログラムを参観した。こういうとき米国では、「参観」のはずでも、まず絶対に「参観」では済ませてくれず、最低でもスピーチするか、授業してくれということになる。そう誘わないと失礼と思っているにちがいない。「実は午前中3時間あるので、1時間でも2時間でも使ってくれ」と。
 彼らは10日くらいの日程のなかで、昼間の授業や活動のバックグラウンドではずっとチームプロジェクトをやっているようなので、前日のポズナー教授の「5つのpractice」とも少し組み合わせて、プロジェクト最終プレゼンテーションを約30時間後に控えた今日、中間SBIフィードバック(360度フィードバックの簡易版)をやってもらうことにした。BLPで2008年からからやっているものとほとんど同じだが、スタッフを含めて初めてだったらしい。初めてなので、良いほうのフィードバックだけ書いてもらう。20分かけてチームメート分を書き上げて、シートを交換したときは皆真剣そのもので声をかけても顔をあげないくらい熱心に自分へのフィードバックを熟読している。
 読んだあと、「自分が得意と思っていることと違う指摘があったか?」という問いかけると、スタッフの一人が嬉しそうに、

「初日に完全に道に迷ったときに動揺したふうをまったく見せずにポジティブにふるまっていたとフィードバックをもらった」
私「それはいつものあなたですか?」
スタッフ「そう、よく道に迷うんです」
私「そこじゃなくてぇ」
スタッフ「友達だけのときは失敗すると落ち込むことが多いのですけど」
私「もしかしてhidden strengthかもしれない」

・・といったやりとりもあり、また、日本からの学生からは「良いことだけを書くのはどうしてですか」とか「フィードバックをくれた人と、あとでもう少し話してもいいんですか」と、非常に的確な質問が出たり、中国の学生から「文化の違いかもしれないが、年上の人にネガティブなフィードバックをすると大変なことになる」という指摘もでて、これについては「必ずポジティブなフィードバックと組み合わせてはどうか」とか「ポジティブで良好な関係を築いてからにしてはどうか」といった学生やスタッフからの反応もあった。

 リーダーシップ開発では、リーダーシップ理論や著名なリーダーの話(本人の講話や伝記)と、自分たちの過去から現在のリーダーシップ経験(現在進行中のものを含む)とをどうリンクして理解できるようになるかが肝なので、このSBIフィードバックはちょうど良い機会になったかもしれない。

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サンノゼの入国審査窓口にて

2月にスタンフォードに行ったときのこと。
指紋や顔写真撮影、訪問先、滞在日数などの申告を終えて

審査官「職業は?」
私「大学教員」
審査官「専門は?」
私「リーダーシップ」
審「お〜」
私「まだ日本ではそれほど認知されていないんだ」
審「そりゃまたどうして?」
私「日本ではまだ権限やカリスマ性とくっつけて考えることが多いからね。アメリカ人のリーダーシップはそうじゃないでしょ」
審「確かに。そりゃだいじな仕事だ。Good luck!」
私「ありがとう。では」

入国審査官は職業を訊いてくるのでそれがきっかけでこういう会話になりやすいようで、他の空港(ニューヨークだったかシカゴだったか)でもそんなことがあった。銀行で口座を作るときにもそんなことがあったし、タクシードライバーには、質問されたのでリーダーシップミニ講義をしたら料金をまけてくれたこともある。「専門は?」と訊かれて例えば「経済学」とか「金融論」と答えていたら、会話はあまり進展しなかったと思う。リーダーシップという言葉がごく普通の日常会話で使われていて、しかもリーダーシップが偉い人たちのものではなく自分たちの間にあるものなのだという認識が共有されているのだろう。

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