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2013年12月15日 (日曜日)

ASTD Creating LDP Certificateと大学教職員リーダーシップ研修

Nyc

 ASTD Certificate講座のコーチング(会場デンバー)と、アクション・ラーニング(会場アレクサンドリア)のを受講して、その質の高さに感心したので、今度は”Creating Leadership Development Progam”(会場ニューヨーク)を受講してみた。予想と少し違う方向ではあるが非常に有益であった。

まず事前課題があり、そこからして「どうリーダーシップを教えるか」とは違う内容であるなと予感される。

a. How important is a leadership development program to our organization?
Why?

b. What events over the next 5 to 10 years will have the most impact on our
company’s success?

c. What leadership competencies will be required to address these events? How
different are these competencies from those required of our leaders today?

d. What is the biggest stumbling block to a successful leadership development
program in our organization?

 ウォール街のさらに南のBowling Greenという駅近く、One New York Plazaが会場。creatingだから、まだリーダーシップ開発プログラムのないところ(主に企業)にそれを導入するにはどうしたらいいか、という話。まる1日かかっても、まだ教科内容・研修内容には全然入らない。講師が脱線しているのかというとそうではなくて、当初の予定どおり。それだけ研修の目的や社内(組織内)での場所取り・立ち位置を重視している。午後になって、参加者それぞれが自分の組織の問題点とリーダーシップ開発の必要性についての診断をプレゼンしあう。電話帳を作っていた会社から来ていた女性(参加者は私以外全員女性だった)が、最近経営陣が総入れ替えになって、電話帳を出版する会社からデータベース企業に変貌するのにリーダーシップ開発が必要だということになってこの研修に来たのだが、経営者自身戦略なんか無い、とかかなり赤裸々。お互い自己紹介はしていてfirst nameで呼び合ってはいるが、名刺交換するわけでもなく、会社の固有名はお互い知らない。逆にそれだけ自由に赤裸々に自社のことを語れるという面白い設定だった。そういえばASTDの他の研修セッションでも原則としてそうだった(もしかして禁酒会alchoholic anonymousとかも同じことか!) 
 で私はというと、BLPはもう7年以上前からスタートしているからcreatingじゃないな、GLPの参考にもなるかなと思ってきたのだが、これが大間違い。自社あるいはクライアントの経営上の問題点と社員のリーダーシップ開発というこのプログラムを使うべきは、学生の教育じゃなくて、教職員のリーダーシップ開発なのだろう。大学にあるリーダーシップ・プログラムは必ず教職員を対象に含めなくてはいけない、ということは5月の立教でのシンポジウムでもゲストスピーカーたちが強調していたことであった。で、しかたがないので(?)立教大学全体と経営学部について、かかえている問題と教職員の状況を私の知っている範囲で話すと、議論の結果は、「大学間グローバル競争と学生の教育サービス選別指向とBLP/GLPの成長は、perfect stormだよ、Miki」となってしまった。perfect stormはジョージ・クルーニーの映画の題名で、現状の進路のままで居ると遭難間違い無しの超弩級台風群であり、問題点が致命的な形で現れてしまうだろう、だからそれを避けるには教職員のリーダーシップ開発をしなくてはいけない、ということらしい。私が立教についてどういう話をしたかは秘密。
 結局翌日夕方になっても教材そのものの話は出てこなかった。準備やフォローアップやアセスメントの話ばかり。トレーニングプログラム自体のことは知っている人のための上級篇という位置づけらしい。よく言われるようにヒトの開発は(リーダーシップに限らず)70:20:10の法則で、70は仕事中、20は他人との関係(メンタリング、コーチング、フィードバック等)、最後に10だけが教室や研修でのトレーニングで習得されるとしたら、それも当然とも言えるだろう。ある意味でBLP/GLPはこの3つの要素が全て大学で起きるように設計されているとも言える(プロジェクト課題のために教室外で作業している時間を含む、という意味)。
 きのう必要性に思い至った大学教職員のリーダーシップ開発について、漠然と上記の10のトレーニング・研修をイメージしていたが、きょうのディスカッションで必ずしもその必要はないと気付かされた。例えば、学内で解決したい問題で多分リーダーシップ不足によるのではないかと思われるようなものを選んで、課題解決を数人から十数人の教職員有志でやってみる。最初と最後にリーダーシップ持論を書いてもらう。途中で振り返りを入れる。複数班で実施するなら解決案のコンテストしてもいい。最後にもう一度持論を改訂し、360度フィードバック。問題解決部分にアクション・ラーニングを使ってもいい。つまり教職員版PBLないしアクション・ラーニング(あ、学生にコーチになってもらうのもいいかもしれない)。楽しそうだし問題解決というわかりやすい実利もあるかもしれない。

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