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2013年9月20日 (金曜日)

AL発AL行き、リーダーシップ経由

 小林昭文さんが「AL(アクション・ラーニング)は、AL(アクティブ・ラーニング)に役立つ」という趣旨のことを書かれていて、まったくその通りだと思うと同時に、それに触発されて、なぜそうなんだろうと考えてみた。小林さんは主に教員側の技法としてアクション・ラーニングを知っていると、アクティブ・ラーニング的な学習環境を設計しやすいという面を強調されているように思える。私は、学生側にも注目してみる。結論から言うと、アクション・ラーニングによって教員・学生がリーダーシップを発揮しやすくなるのでアクティブ・ラーニングが促進されるのではないかということである。アクション・ラーニングのコーチ役になることを意識していると教員は知識をインプットすることには消極的で、ひたすら学生に考えさせたり、コミットメントを上げてもらったり、行動を起こしてもらったりするための質問を繰り返す。これが学生のリーダーシップ(成果目標を共有し、自ら行動し、周囲をも巻き込む)を引き出すのである。前にも書いたが、学生個人が行動するだけでは教室は活性化しない。一人の学生の行動が他の学生に影響を与えるからこそ活性化するのである。すなわち学生のリーダーシップが重要なのである。このように、教員のアクション・ラーニング的姿勢は学生のリーダーシップを介して、教室全体のアクティブ・ラーニングに結実する。言い換えると、アクティブ・ラーニングとアクション・ラーニングの結節点は、実は学生のリーダーシップなのである。
 さらに、教室で発揮される学生のリーダーシップが教室内ないし授業内で完結してしまうともったいないと考えるのは、私がいつもリーダーシップ教育のことばかり考えているせいだろうか。授業で発揮することを覚えたリーダーシップスキルを教室外に持ち出して、自分の生活や人生の他の場面でも活かさなくていいのか。「あの先生の授業のときだけ発言できちゃうんだよね」という状態で終わらせずに、学生が学校の内外で、どんなときでも発言して周囲と目標を共有し巻き込めるように持っていくには絶好の機会ではないのか。また、アクティブ・ラーニングをめざす授業とは別に準備としてリーダーシップ教育を行なっておけば、一般授業におけるアクティブ・ラーニングもいっそう導入が容易になる(教員の仕掛けが少なくて済む)という効果も望めるのではないか。そう考えると、全ての高校や大学で意図的なリーダーシップ教育を行うことの意義は極めて大きいと思えてしかたない。

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