アクティブ・ラーニングとリーダーシップ
経営学部BLPや立教全カリGLPは、アクティブ・ラーニングを実践している授業として評価していただくことが大変多い。ありがたいことである。しかしもともと、BLP/GLPのようなリーダーシップ教育科目は、アクティブ・ラーニング方式で行わないと効果が上がらないという性質を持っている。というのは、リーダーシップ開発の王道は、「受講生が自分でリーダーシップ行動を実際にとってみる→その行動について周囲や教員のフィードバックを受け取る→フィードバックも参考にして自分のリーダーシップ行動を振り返る→自分のリーダーシップ行動の改善計画を立てる→自分でリーダーシップ行動を実際にとってみる(以下繰り返し)」というサイクルなので、教室で教員が講義する必要があるのは、このサイクルの節目節目だけなのである。かくして、リーダーシップ教育科目は、アクティブ・ラーニングの典型例ということになる。
そればかりか、この逆も正しい。すなわち、学生がリーダーシップを持っていることが、(リーダーシップ科目以外の)科目のクラスのアクティブ・ラーニングを促進するのである。このことはどんな科目についてもほぼあてはまる。自らすすんで学ぼうとし、他の学生を巻き込む学生が教室に何人かいれば、その影響力は教師よりも強力で、クラス全体が「学習する集団」になることもありうる。教員であれば「あの年には◯◯君が居たからなあ」と思い出す「燃える学級」の経験は何度かあるのではないか。その◯◯君は自分が熱心なだけではなく、他の学生を巻き込んでいたのではなかったろうか。そういう◯◯君が一人の抜群にできる学生でなく、もっと小さな影響力でもいいので、クラスのあちこちに代わる代わる現れれば、それはそれで最強のクラスである。そういうことこそまさに学生のリーダーシップであり、「ピア・ラーニング」である。このように、教員だけでなく学生に(少なくともある程度の)リーダーシップのあることが、アクティブ・ラーニングやピア・ラーニングが効果的に機能するための前提条件なのではないか。もしそうだとすれば、これは大学(や中学・高校の)カリキュラム・デザインにも重要な含意を持つ。つまり、学校がアクティブ・ラーニングやピア・ラーニングによって授業を活性化したいのであれば、まず学生・生徒に(それから教職員にも!)初歩的なリーダーシップ・スキルを学んでもらうことが先決である。これは、私が「全国全ての大学でリーダーシップ教育を」と提唱したい理由でもある。
| 固定リンク
「01. 教室の内と外」カテゴリの記事
- Zoom as an Equalizer(2020.07.30)
- 魔の11人?(2020.07.22)
- 早稲田大学でのアクションラーニングの歩み(2016年6月-2020年7月)(2020.07.22)
- 双方向ライブ型オンラインのリーダーシップ開発授業開始(2020.05.16)
- またもやPBLの置き場所について(2020.01.19)
「05. Leadership」カテゴリの記事
- note試運転中(2022.02.23)
- 「心理的安全性」より「衝突安全性」がよいのでは?(2021.10.11)
- Zoom as an Equalizer(2020.07.30)
- ILA理事就任(2020.07.23)
- 魔の11人?(2020.07.22)
「05b. Active Learning」カテゴリの記事
- Zoom as an Equalizer(2020.07.30)
- 魔の11人?(2020.07.22)
- 双方向ライブ型オンラインのリーダーシップ開発授業開始(2020.05.16)
- またもやPBLの置き場所について(2020.01.19)
- 早稲田LDPにおけるアクションラーニングの意義(2019.12.28)