アジア・アクション・ラーニング・フォーラム@立教大学
グローバルAL講座の翌日には、11月7日(木)、立教大学太刀川記念館で「第七回アジア・アクション・ラーニング・フォーラム」が開催されました。この日は全てのコンテンツが英語で、日本にいる外国人の方々の姿もかなり見受けられました。午前中に1時間いただいて、「立教大学経営学部におけるアクション・ラーニング導入」をプレゼンテーションしました。こういうときには学生諸君に活躍してもらうのが良いにきまっていること、それに、ホノルルで鍛えてきた若手教員)の英語力を披露する機会でもあるので、教員3人のイントロに続いて学部学生一人(Kosuke Tada)、MIB院生一人(Yusuke Ikeda)、卒業生一人(Yosuke Matsuoka)に順に話してもらいました。英語を話し慣れている学生も含まれていましたが、ふだん英語を話しているのを私が目撃したことのない(というか、話せないで難渋しているところを目撃したことすらある)人が見事に話しているのを見て改めて皆さんの努力に感銘を受けました。出席者たちからは昼休みや夕方の懇親会で、「立教の学生さんは頼もしいですね」との感想をたくさんいただいて嬉しい限りでした。
最終日9日(金)は同じ会場(太刀川記念館)で、アクション・ラーニング協会の年次カンファレンスを兼ねていました。午前中はMarquardt教授の、質問の効能についての講義。大半は既に読んだり聞いたりしたことでしたが、教授に7人孫がいる話は初めて。7人のお孫さんたちは、両親が「質問ばかりするのはいい加減にしなさい」と叱る親たちと違って、グランパが質問(を受けるのもするのも)大好きなのを知っているため、大人気。かのアルバート・アインシュタインも、近所の子供にバイオリンを教えていて、知人に「物理の研究をしたり同僚とディスカッションをするのに時間を使えばいいのに」と言われると「子供の自由な質問のしかたを習っているのだ。私は研究時間1時間のうち59分間は質問のたて方に使っているのだから」と答えていたらしい。教授は物理の話が大好きでしばしば比喩にでてくる(アクション・ラーニングは量子力学なのだ、とか)ので、それが理数嫌いの多いHRの人々(の特に女性たち?)の耳には素通り扱いらしいなのけれど、このバイオリンの話は面白いですね。あんまり誇張されていないといいのですがが(笑)。
なお、あとからお聞きしたところではこの講演と午後の小林昭文さんの高校の物理学のワークショップに、立教の理学部からも教員が参加なさっていたそうで、とてもうれしく思いました。
午後は企業での新しい導入事例の紹介二件のあと、再び今度は日本語での立教でのALの紹介に15分もらえました(キリンビールとパナソニックでの導入事例と並んで)。前日の学生たちのプレゼンの評判があまりに良かったので、ちょっと無理言ってゼミ生の難波尚也君に頼んで急遽5分ほどでAL体験談をしてもらいました。AL体験前の一年生の頃と、二年になって(ゼミで)ALを経験してからとではリーダーシップ持論が大きく変わったことや、つい先日、日本ヒューレットパッカードの社員さんたちのグループの中でALコーチ役をやってみて、大変苦労したこと等。これも評判上々だったようです。
このセクションで私が強調したのは二点で、(1)最初はSAと教員の研修用にアクション・ラーニングを導入した。問題解決型授業(BL0,2,4)の中で学生がSAや教員に「どうしたらいいですか?」と質問してきたとき、つい教えてたくなる誘惑をどうかわすか、という、テクニックとして質問し返す方法として導入したのが最初。しかし、質問力やALコーチの経験は、リーダーシップそのものなので、次の春には学生全員に経験させてみようという計画であること。(2)英語での質問力・ALコーチ力は、国内でリーダーシップを発揮していた人が急遽海外に赴任することになったときのサバイバルキットとして役立つのではないか。英語で短い質問をすることは語学的には難しくなく、それが新しい支援型のリーダーシップにも適している。従来、英語力を基準に海外赴任者を人選するとリーダーシップが足りない人が選ばれてしまったり、逆に国内でのリーダーシップ実績を基準にすると英語教育に時間がかかり過ぎたり(あるいは英語に自信がないまま赴任)というディレンマがあると聞いていますが、英語アクション・ラーニングはこのディレンマを緩和できるのではないか、ということ。(2)については、Marquardtさんを含め、会場でかなり多くの人に興味をもっていただけたように思えました。夕方の懇親会では英語アクション・ラーニングの自主研究会を立ち上げよう、というような話も出ていました。
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