「反転」授業?
スタンフォードの「逆転授業」が話題になっています(例えば東大の山内さんの記事)が、それと同様の試みは日本でも行われて来たとも聞きます(例えば早稲田大学の向後さんらのeスクール)し、講義系と演習系というふうに広くとらえてみると、「本はみんな読んできて授業時間中は議論しましょう」という方式は昔から演習形式の授業の前提だったとも言えます。その意味では「反転」の歴史は意外に長いですね。
ただ、この「みんな読んできて」という部分の能率や意欲については、
1)一人ですいすい本を読んでくる人(研究者に向いてる人かも)、
2) 仲間と一緒に読書会するほうがいい人、
3) 視聴覚教材のほうがいい人、
と個人差があるんですね。
その中で3)について、モバイル適合的な視聴覚教材を用意して受講生に見てきてもらう、というのが今話題の「反転授業」の主なトレンドなのだと位置づけられるかもしれません。また、伝統的なチューターシステムつまりメイン授業と並行してTA主導で宿題教材の読み合わせをしてからメイン授業に臨むというのは1)と2)の組み合わせとも言えるかもしれません。
なお、いま私のゼミでは、2)と3)を組み合わせて、授業の前に数人の班ごとに読書会をしてもらって、まとめビデオをyoutube(限定公開)にあげて、ゼミ全員が自分以外の班のまとめビデオを授業前に見てきて、授業時間中は班の間の違いを議論したり、その場で気づいたことを議論したり、関連知識や関連文献を日向野が紹介する、という方法を試しています。テキストはエドガー・シャインの『人を助けるとはどういうことか』。なお、実はこの本の中では質問の方法や分類がとても重視されていてアクションラーニングに直接役立つので、この本を読みつつALセッションをゼミ時間内に実行したい、しかし両方する時間がない、その時間を稼ぐための苦肉の策として考案したものなんですが、けっこううまく機能している気がします。
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