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2012年3月の2件の記事

2012年3月20日 (火曜日)

Jennifer Bonnet, "Citizenship", in Susan Komives et.al., "Leadership for a Better World"(読書ノート)

Jennifer Bonnet, "Citizenship", in Susan Komives et.al., "Leadership for a Better World"(読書ノート)

学生は国政選挙への参加義務などを思い浮かべるせいかcitizenshipは分かりづらいと言うが、SCMの文脈ではかえって分かりやすいとも言える。共同体に対して、単に構成員であるだけでなく、価値観を共有し、責任感をもって積極的に関わ(って共同体の生活の質を上げ)ることである。

アレクシス・ド・トクヴィルがその時代の米国人について感心して書いているのは、米国人たちが共通の目的に向かって協力している姿である。また、John Deweyは民主主義に必要なのは政府がどうこうというよりも、人々が協同してコミュニティをうまく機能させることであると言う。Takaki(1993)によればアフリカ系、アジア系、アメリカ大陸先住民系、ラテンアメリカ系のアメリカ人たちは共同体作りの長い歴史をもっている。Putnam (1999)はこうした共同体へのengagementを結果形成されるnetwork, norm and social trustを"social capital"を呼ぶ。social capital [の増加、すなわちsocial investmentと呼ぶできだろう]には、同質的な人々との間で形成するbondingと、異種の人々 (diverse people)の間を結ぶbridgingがある。bondingはgetting byで、bridgingはgetting aheadという面がある。

大学の学生寮を例にとると、フロアごとで、コミュニティがある階と無い階を比べると信頼・相互支援・共通の問題への協同した取り組みなどの進み具合が全く違う。これはsocial capitalができている場合とできていない場合に相当する。

social capitalを維持・形成するためには
コミュニティの問題点やその歴史を知ること、権限を委譲すること(およびその副作用を意識すること)、共感すること(empathy)が重要。2007年の大規模・複数大学での学生アンケート調査では、自分のリーダーシップ涵養のために役立ったことのなバー1として、empathy体験(社会的・文化的な違いを理解する)と答えた者が最多だった。

[このあとコミュニティの形成パターン、coalitionの重要性、global citizenshipへの拡張、consumer activismなど]

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2012年3月 3日 (土曜日)

消費行動とリーダーシップ

 徹底的に消費者として行動してきた人は、まずその習慣を払拭するのがリーダーシップの第一歩になる、と何度か書いてきた。しかし消費者でありながらリーダーシップを発揮できる場面はいくらでもある。例えば、ネガティブなほうでいえば不買を自分の中にとどめず周囲を巻き込もうとして不買運動を起こせばそれは明らかにリーダーシップである。また、自分の気に行った商品・サービスが市場にはまだ無いが、自分には作れないので企業に対してこういう商品・サービスを始めたらどうかと提案するなら、それもリーダーシップである。さらに、自分で起業して商品・サービスを提供しようとすれば、それはさらに強力なリーダーシップである。
 他人に与えられた商品・サービスのメニューを見て、Aを買いBは買わない、Aを買っていたのをやめてCに移る、あるいは、Aを買ったが不満なので「返品自由」という権利を行使して返品する、といった行動を繰り返しているだけではリーダーシップは育たないのである。選択の自由は、選択の範囲が他人に与えられたもののみであればリーダーシップには繋がらない、と言ってもよかろうか。

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