Kristen Cilente, An Overview of the Social Change Model of Leadership Development(読書ノート)
Kristen Cilente, An Overview of the Social Change Model of Leadership Development,in Susan Komivez et.al.(eds.), Leadership for a Better World, 2009.
Bass(1990)によればリーダーシップ論は古代エジプト時代からあるが、産業革命以降の西欧では、リーダーのポジションについた人が他人をどう働かせるかという問題に焦点が絞られていた。その傾向が大きく転換したのは、1970年代のGreenleafとBurns、それに続く80-90年代のリサーチ、さらに90年代のKouzes&Posnerらの著作以降である。しかしcollaborative leadershipというのは概念化が難しい。そこでリーダーシップはリーダーの行うことである、という定義からリーダーシップは過程であるという定義に移行した。このアプローチを採る場合、リーダーの地位にある者が他の者にどう働きかけるかという考えは捨てて、(組織内に上下関係がある場合でも)全員が[リーダーシップのある]行動をとるべしという考えに変わらねばならない(2000年前後の各種研究)。
こうした研究面での変化を受けて、大学教育においても変化がおきた。1993年米国教育省は大学でのリーダーシップ教育に補助金を出し始め(UCLAなど)、96年にはSocial Change Model of Leadership(SCM)が大学教育界に広く知られるようになった。
SCMは8つのvalueをめざす(図省略)。まずリーダーシップがそもそもchangeのためにある。他の7つのCは3つのレベルで追求される。個人レベルでconsciousness of self, congruence, commitment,組織(グループ)レベルでcollaboration, common purpose, controversy with civility, 社会全体との関係でcitizenship。7つそれぞれについて、knowing (knowledge acquisition), being (attitudes), doing (skills)が明示されている。[常に暗唱するには7つは多そうに見えるが(PMは2つだしKouzesらは5つだ)、3レベル別になっているので実はそう大変ではない。またknowing,being,doingが明示されているのも良い。また、controversy with civilityのところを多少拡張すれば多様性対応・グローバル対応も可能に思える。groupを企業組織に読み替えることも容易である。]
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