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2011年7月の1件の記事

2011年7月 3日 (日曜日)

英語で質問会議

 以前から試してみたかった「英語で質問会議」の機会がやってきた。今春から始まった全授業英語の大学院MIB (Master of International Business)の中で3コマ連続の時間割をもらえたので試してみたのである。受講生はロシアと中国とタイの留学生の三人。本当はもっと多かったのだが、震災直後にキャンセルが相次いだために初年度は三人だけのスタートになってしまった。しかし三人とも優秀でキャリア意識も高いし、しかも三人+ALコーチというのは質問会議を行う最小構成なので、もっと大勢居てALコーチが不足するより却ってずっと都合が良い。
 若い学部学生と質問会議をおこなうときの難所の一つである「適切な問題を持ってきてくれるかどうか」という問題点は、今回はなんなくクリアできた。というのは、学期の終わりまでに各自(グループでなく個人で)ビジネスプランを作ることが目標になっている(一種のPBL)ので、プラン作りで困っている点を相談することにしたからである。英語でALコーチをおこなうことは、優秀な同僚が春の新任教員研修に備えてテンプレートを英訳しておいてくれたおかげで、あっけないくらい簡単だった。日本語でALコーチになることに慣れていれば、介入のタイミングなどは同じなのであっさりできてしまう。
 三人が順番に自分の困っている問題を提示して連続三回セッションをしたのだが、回を追うごとに質問の質や関係の質が上がっていくのが皆分かったようだった。問題の再定義には同意できないことのほうが多い(このあたりは最初は安易に同意しがちな日本人とおおいに違う)が、それでも問題提示者は問題解決に向けてヒントをつかんだようであったし、アクションプランやサポート申し出の時間も充実していた。問題の再定義の合意できなくても全然気にしないところはほとんど爽快感すらある。
 ALコーチとしては非定例介入と各セッション最後の学習支援が特に大切であることはいつも通りである。それに加えて、一番最初の、なぜ質問会議を行うのかという説明が重要。それからこの日の最後のほうに出てきた「そもそも、どうして意見じゃなくて質問にしないといけないのか」とか「ALコーチをやってみるのがリーダーシップの開発になるって本当なのか」といった面白い疑問をうまく活かすことが重要そうだ。次回はそうした疑問について議論することを導入にして、日本人の留学経験者・留学予定者を混ぜてみる予定。そもそも「英語で質問会議」をやってみたいと思っていた理由は、ネイティブなみに英語が話せなくても要所要所で良い質問をしてチームに貢献し一目おかれることは可能なはずなので、質問会議は、英語の練習中であっても多国籍チームでリーダーシップをとることのできるセッティングではないかと考えていたからなのだ。この秋にはホノルルのEast-West Centerでも「英語で質問会議」を実践してみる予定。

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