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2011年6月11日 (土曜日)

バルコニーに常駐するコーチ

ハイフェッツ教授の「バルコニーとダンスフロア」という象徴的なリーダーシップ論(『最前線のリーダーシップ』や『リーダーシップは教えられる』等)については以前にも書いた。グループのメンバーと一緒にダンスフロアで踊りながら、誰かがときどきはバルコニーに上がって、自分たちの現状や位置を把握することが必要だという。そうしないと目の前の現実だけに流されて自分たちを見失うというのである。そのバルコニーとは、当該グループが向かっている戦略的な位置をも見通す視座のことを言っているのだろうか。自分たちの現状を把握する別の視座(バルコニー)に立てる人がいつも必要なのだというのは分かるのだが、「必要に応じてバルコニーとダンスフロアを往復」ができるような高い能力のある人なら、往復するのではなくいっそずっとバルコニーの高みに常駐して、そこからダンスフロアに指示を下していればいいのではないか。往復するほうがよほど高いスキルではないのか。そう、バルコニーに常駐していると今度はダンスフロアで踊っている人たちとの通信が悪くなるのである。だから戦略的位置が分かるようなスキルのある人も、それに加えて現場でダンスすることも同時に必要とされるという話なのだろう。
 質問会議におけるALコーチはその意味ではバルコニーに常駐している。会議における質問と答えのコンテンツ(問題解決)には関与しないからである。問題解決=コンテンツに関与せず、プロセスだけを管理している。そうして、そのほうが良い成果が出ることが多いという経験則(言い換えると、問題解決=コンテンツに熱中すると学習=プロセスに目がいかなくなる人が大半であるから、より良い成果のためには学習とチームワークの必要性のリマインダとして不可欠であること)をメンバー皆が分かっている限り、バルコニーに常駐していても通信は悪くならないのである。バルコニーとフロアの切り分けとしては質問会議のほうが明快であるとも言える。

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