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2008年11月12日 (水曜日)

企業の不払いと倒産(金融入門の入門1-8)

 企業が不払いをだすと何が起きるでしょうか。まず、支払いを待っていた取引先や銀行(法律的には債権者)から訴えられる可能性が出てきます。また、その借り入れがもともと工場用地を抵当に入れて行われていたものであれば抵当権を行使されて、土地を処分されてしまう恐れも出てきます。あるいはその借り入れについて誰かに保証人になってもらっていた場合には、その保証人のところに請求が行ってしまうことになり、迷惑がかかります。

(なお、法律的には抵当は物的担保、保証は人的担保です。物的担保には抵当の他に質(しち)もあります)。銀行が企業に貸出を行うときには、大企業より中 小企業からはより確実に担保をとろうとする傾向があり、また、過去に貸したことがあって無事だった(つまり取引履歴が長い)企業よりも取引履歴が短い企業 に対しては同様に厳しく担保をとる傾向があります。抵当にとる物件がなければ経営者個人に保証させることすらあり、その場合会社が不払いになると社長が自 宅を追い出されるようなことになってしまいます。
 こうしたいろいろなことが起きる前に、借り手・貸し手のどちらかが手続きして、法の力を借りて、債権者に一斉に催促を猶予し借り手は再建に向けて努力す るという方法があります。実はこれが「倒産」です。ですので、「倒産」は企業が解体することではなくて、企業を解体する前に、その企業に再建のチャンスを 与える手続きという面のほうが強いと言えます。逆に、この「倒産」手続きが行われてないと、取引先や銀行などさまざまな債権者(とりたてる権利のある人) が、自分の貸している分は取り返そうとわれ先に押しかけますから、再建の可能性はなくなってしまいます。そうならないように、裁判所の音頭取りによって債 権者が債権取り立てをある程度待って再建できるかどうか様子を見る期間を設けるのです。
 なお、企業の借り入れに「手形」を使うことが広く行われていた時代には手形が不払いになる(「不渡り」といいます)ことが頻繁にこの「倒産」の事実上の始まりになっていました。
 企業の再建(再生)については、株主の役割を抜きには議論できませんので、株のことを説明したあとにまたとりあげます。

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