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2008年11月 1日 (土曜日)

企業の支払・受取・キャッシュフロー(金融入門の入門1-6)

ここまでの説明で、個人への入金は給与のような規則性のあるものと想定してきました。個人でも自分で店や工場を経営していたり、農家や漁師のような人も居るでしょう。そこで、それらの人を含め、また大きな会社も含めて、企業への入金について説明しておきます。

企業への入金は自社で作っている製品やサービスを他の企業(問屋などの流通企業や、この製品を使って別の物を作る企業)や、個人に売って、その代金が入っ てくるものが大きな割合を占めます。特に企業対企業の取引では、現金払いだけでなく、月末にまとめて代金を受け取ること(売り掛け)も多く、その場合は納 品と入金のタイミングにずれが発生します。このずれが企業の資金繰りに影響します。また、そもそも現金引き換えでなく、なぜ掛けで売るのかといえば、それ はやはり信用の問題です。信用できる相手に(価格を値引くのと同様に)サービスの方法として掛けで売るという面があります。言い換えると相手を信用してい ていることを掛け売りで示すわけです。
 こうした入金の裏側が出金(支払い)で、他の企業から原材料や半完成品を仕入れればその代金を払います。この場合も買い掛けにしてもらうと、納品を受けるのと支払いを行うタイミングをずらすことができて、それだけ資金繰りが楽になります。
 企業にとって、もう一つ大きな出金要因は、従業員への賃金の支払いです。これは待ったなしです。賃金の支払いは他の支払いよりも優先しなくてはなりませ ん。今月従業員に働いてもらって、その成果が売り上げや入金として現れてくるのは来月以降であることも多いでしょうが、それでも賃金の支払いは今月行わな くてはなりません。実はこれは原材料の仕入れについてもあてはまります。その意味では企業は普通に営業するにも支払いが前で受取が後になりがちで、資金繰 りや借り入れが必要な組織であると言えます。また、借り入れが実際に行われれば現金なり預金なりが増えますから入金があったことになりますし、借り入れの 返済は逆に支払い要因です。

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