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2007年9月の2件の記事

2007年9月10日 (月曜日)

イーモバイルとiPod touch

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先月からイーモバイルと契約してUSB無線モデムを買い、MacBookを持ち歩いている。週に一度か二度は数時間LANのないところでパソコンを使いたいことがあるのでこれは大変重宝である。類似サービスでいままで独壇場だったPHSは速度が遅い(それにMacへの対応にも熱心でない)から見送っていたのだが、イーモバイルは速いしMacも大丈夫だし(このまま行けば多分)安いし良いところずくめである。

これでMacを連れ出す機会が増えたので、今度は10インチかせめて12インチの(PowerBookG4/12“のサイズと同等かそれ以下の)MacBook Miniは出ないものかと希望し始めたときに、iPod Touchが出た。無線LANでネットに繋がるようだ。だったらいっそのことイーモバイルでネットに繋がる仕様にしてくれたらいいのに。つまり電話機能は要らないからネットにだけ繋がればいい。どうしても電話機能が欲しいならば、OSXなんだしSkypeでも繋げばいいではないか。iPhoneでできることのうち、電話だけは要らない、という人は日本では案外少なくないのでは? 電話機能が障害になって日本発売が遅れそうなのであればなおさらだと思うのだが。

もっとも通信するのに外付けでモデムというのじゃあアップル的には(というかジョブズ的には)許せないでしょうね。となると内蔵だけど、それなら電話機能入れるのと同じ手間?

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2007年9月 9日 (日曜日)

バルコニーにて

永らくご無沙汰。時間的に忙しくても、忙しさの性質によってブログは書けることはあるのだが、この夏は別の種類の忙しさだった。それでブログにご無沙汰してしまうとは、まだまだ修業が足りない。
 最近ハイフェッツ教授の伝説的とも言えるリーダーシップ開発の授業についてシャロン・ダロッツ=パークスが長期取材して書いたという『リーダーシップは教えられる』(ランダムハウス講談社)を読んだ。リーダーシップ開発に限らず、名人と言われる人の授業風景を取材して書いた本は少ないようだ。読み始めてすぐ目につく「ダンスフロアとバルコニー」という卓抜な比喩にまず感心。リーダーシップについてグループやクラスで議論するのだが、議論(フロアでのダンス)の最中にふとバルコニーに上がってフロアを俯瞰し、ダンスしている皆の状態を把握することが大切で、フロアとバルコニーの往復がひょいとできなくてはよいリーダーシップは発揮できないという。グループの状態を把握していなくてはいけないという手垢のついた説教よりもすっきりと印象的である。
 受講生たち自身が過去にリーダーシップをとろうとして失敗した経験談をクラスで発表させてそれを皆で分析するという極めてインタラクティブな方法にも驚く。驚いたので早速秋からの経営学部一期生(現2年生)のBLP(BL3)で使ってみようと考えている。そんな急に思いついたような授業内容でいいのか? いいのである(と思う)。経営学部の一期生たちは経営学部ができた直後に入学してきたというか、彼らの入学とともに経営学部が始まったので、教員たちが全て初めてのことをやろうとしていつもドタバタしている状態にもはや慣れている。寛容な諸君である。それだけではない。教員たちが右往左往している状態を見るに見かねて、学生諸君が手をさしのべて改善提案や労働を提供すると教員たちが遠慮なくそれをいただき、そうすると急速にドタバタが終息するということもしばしば経験している。
 実はこれこそ経営学部がめざしているリーダーシップの一つの典型である。つまり、任命も依頼もされてもいないのに、自発的(emergent)に提案・説得し私心なく自ら動き全体のパフォーマンス(成果)を向上させるリーダーシップなのである。教員は、学生諸君に自発的リーダーシップを発揮してもらうために深慮遠謀し敢えて教員としての権力や権威を発揮しないでいるのだ。と言いたいところだけれども実のところそれほど余裕があるわけではない。ただ、先行例の非常に少ないことばかりを行っているので、学生諸君のリーダーシップをうまく引き出せず、教員にも窮地を脱出する妙案がない場合には、BLPで言えば250人からの学生とともに立ち往生してしまうという恐れがある。いくら寛容な一期生が相手とは言え、これは教師としては悪夢である。そうなるリスクを取っているとは言える。
 その意味でBLP教員の方にこそBLP運営だけに限ってみても失敗談や裏話(ここには書けないような、「あのとき間一髪だった」「運がよかった」という類いのエピソード)には事欠かない。しかしまずは受講生諸君の失敗談を使いたい。学生同士の失敗談のほうが共感しやすいからである。失敗談ではなく経験談やリーダーシップに関する個人個人の持論を披露しあうというクラス運営方法であれば今や一般的で、リーダーシップ開発(教育)だけではなく、純粋なリーダーシップ研究においても、実績のあるリーダーがほとんど必ず持っているリーダーシップ持論をインタビューで聞き出して分析するというのは定番の研究課題になっているようだ。しかし失敗例に限るというのは一般的ではないようだ。実行するための障害になりそうな点の第一は、失敗例を率直に話すにはクラスやグループの同僚とある程度以上の信頼関係がなくてはいけない。第二に、同僚の受けを狙って失敗談を笑い話に仕立てることを防ぐ必要がある。第三に、教師の受けを狙って「最初はバラバラだった仲間が文化祭直前までにほぼまとまりかけたときに、あと一歩のところで失敗しました。あのときこうすればよかった」等という殊勝な反省つきの(面接対策にありそうな)マイナー失敗談にこじんまりまとめてほしくない。そうならないように、失敗談をクラスで分析したら何度か改訂してもらう必要があるだろう。持論ではないと上に書いたが、そう、これは失敗談から持論を作って行く作業であるとも言えるかもしれない。
 そして、失敗談のソースとしては過去一年間に受講生が行ってきたプロジェクト型学習の中での失敗が最適ではないか。全国の大学でプロジェクト型学習(project-based learning)は流行の兆しがあるが、プロジェクト型学習のもっとも肝心なところはプロジェクト本体の終了後にようやく始まるということは案外知られていないように見受けられる。リーダーシップ持論の形成や失敗談の共同分析は、プロジェクト終了後の「ふり返り」の柱になるだろう。

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