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2006年9月10日 (日曜日)

快適な滞在と日本語・英語・中国語

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案の定、台湾への外国からの渡航者は増えていて、日本人はその中でもトップ。三分の一は日本人だそうです。(フジサンケイニュース

日本人旅行者としては、これほど楽ちんというか、日本食がふんだんにあって日本語が通じて(会話では通じないときでも看板や筆談では漢字という強力な助けがあり)、外国旅行の緊張や衝撃がない旅行先も珍しいでしょう。例えば欧米で日本語が通じる地域があれば、それは日本人相手の、往々にして値段の割高なショッピングエリアでしょう。かつてアメリカ人相手のそういう地域を、クレジットカードの名称をもじってAmerican Express areaと呼ぶ人がいましたが、1980年代以降の日本人の場合はJCBエリアとでも呼べるでしょう。

しかし台北は、特別のショッピングエリアだけではなく、街中で日本語が通じるのですからヨーロッパや北米とはもちろん段違いですし、世界中で最も日本語の通じる場所ではないでしょうか。ゼミ生の中には、ガイドの人が「単身者のアパート家賃は2万円くらい」と言うのを聞いて、「台湾に留学できないだろうか」と考え始める者もいます。確かに台湾の、ある程度以上の大学の学生は英語ができる(多数)派と日本語ができる(少数)派でしょうから、日本人がいま留学すれば英語の勉強にもなり、本当に困った時には日本語も通じるという安心の環境かもしれません。

翻って考えてみると、英語圏出身の人たちは昔から世界の多くの地域でこうした便利や安心を味わっているはずです。グローバル化でこのメリットはますます拡大したでしょう。EUの公用語も事実上英語になったことで、英国やアイルランドはもちろん、米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・香港の人々にとってもEUがぐっと身近になったと思われます。80年代には例えばドイツやイタリアの田舎で英語が通じることはほぼありませんでしたが、今は違います。つまり英語圏出身者にとっては、昔から世界中が日本人にとっての今の台湾であるようなもので、現在はさらにその傾向が強まっているわけですから、まさに笑いがとまらない状況に違いありません。

台湾と中国の関係についても言葉の問題は重要なはずです。中国政府は台湾の独立派を牽制するためにミサイル演習も行ないましたが、いまや台湾には本気で中国本土を「奪還する」ことを望む人は本当に少ないはずですし、「独立する」ことも、本土が反対しているのであれば無理には望んでいないのではないかと思います。というのは、中国本土がすごい勢いで経済発展するにつれて、これは台湾経済にとって実に大きな機会であると皆が気づいたはずだからです。飛行機ですぐの距離に、同じ言葉を話す人たちからなる巨大な市場が出現したのですから。実際、台湾から本土への企業や工場の進出はものすごいペースであると聞きます。この経済的機会を棒に振ってまで「独立」したいと願う台湾の人たちはどれほどいるでしょうか。

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(上海のタワーを抜いて現在世界最高の台北101ビルからの夜景)

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