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2006年5月 8日 (月曜日)

怒濤の新学期(その1)〜メルマガ50号

一年前の4月は新しい職場に勤め始めて、毎日が新鮮でした。今度の4月は新しい学部がスタートして第一期生を迎え、去年よりさらに忙しく、しかし面白い一ヶ月でした。まず、入学式の後に、他の学部は大教室でオリエンテーションを行うのですが、経営学部ではこれを泊まり込みの合宿にしてしまいました。特別なところに入学したのだという自覚を持ってもらうには特別なことをするのが良いからです。

合宿は私と同じ時期に着任した民間企業出身の同僚の発案です。彼自身の大学入学当時にも合宿があり、また企業に入社したおきにも豪華な施設に宿泊し繰り返し「わが社は特別なところなのだ」とたたき込まれたというのです。もちろん大学は企業とは違いますが、「他の大学(会社)に入れなかった」といったことは忘れて、全く新しいプログラムと方針をもった新学部(会社)を早く理解して、勉強(仕事)を始めてもらうことが主眼である点は入社研修と共通するところがあるでしょう。

学会などで合宿のことを同業者たちに話すと「いまどき入学時に合宿なんかするのは小さな女子大くらいのもんだぜ」と驚かれます。しかし一期生のときにやってみないと金輪際できはしないから、今年やってみて駄目なら来年からやめればいいではないか、様子を見て来年から始めようというのは絶対無理だ、という学部長の決断で、やや強引に決定してしまいました。

開催を決めてしまってから(!)「単なる説明会を泊まりがけでやっても盛り上がらないだろう」「企業と違うから企業研修は参考にならないし、いったいどういう出し物(笑)を企画すればいいんだ?」等と悩みましたが、そこで思いついたのが基礎ゼミの前倒しです。基礎ゼミは多くの大学で行われていますが、ちょうどその基礎ゼミ自体を特色あるものにしようと考えていたところだったので、基礎ゼミ第一回を合宿で行うことにしたのです。基礎ゼミのクラス分けも、学生番号順にするのではなく、男女・学科・出身校・入試区分などが偏らないようにコンピュータで振りわけました。

合宿ではイベント性を持たせるために、20クラスの基礎ゼミが一晩で共通の課題について考え、翌朝学年全体の前で発表する方式にしました。結果は予想以上で、17-18名ずつの20クラスに分かれた新入生約350人は、与えられた課題「経営学部の第一期生として自分たちはどうなりたいか」について、KJ法でブレインストーミングと合意形成を使い、深夜まで議論しポスターを準備していました。その真剣さ・熱心さはわれわれの期待を上回っていて、翌朝のプレゼンテーション大会も大変将来性を感じさせるものでした。その意味では「幼児化している」とか「ゆとり教育のせいで駄目になっている」と酷評される今度の新入生世代ですが、私たちの受けた印象はかなり異なるものです。

(合宿でのこうした活動は、経営学部のブログにムービー付きで記録されています)

以上は日本評論社発行の『経済・金融メルマガ』でも配信しました。毎月一回発行の同メルマガのお申し込みはこちらからどうぞ。

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