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2005年12月14日 (水曜日)

銀行代理店〜メルマガ45号

楽天のTBS買収騒ぎの陰で、地味ですが重要な動きがあります。南君の本でいうと第13章に近いことがらです。銀行の代理店というサービス業を、一定の条件を満たした一般企業に認めるという法案が国会で審議されているのです。

銀行代理店法案、衆院財金委で可決

「銀行代理店」来年4月解禁、野村参入・イオンも検討

「銀行法代理店」解禁の銀行法改正案、衆院で審議入り

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●銀行代理店

例えばスーパーマーケットが銀行の代理店になると、個人ユーザはスーパーマーケットに行くついでに預金口座を開設したり、貯蓄商品を買ったり、送金や振り替えができることになります。これは少し前にとりあげたアイワイバンク銀行(現セブン銀行)蘇我支店の試み
(ブログではこちら
に一見よく似ています。

また、証券会社が銀行の代理店になると、証券会社の扱っているあらゆる商品と一緒に銀行の口座も扱えることになり、銀行からおろして証券を買うことも今より敏速・円滑にできるようになるでしょう。

外国では、英国のサッチャー政権時代のビッグバン(金融・証券市場の規制緩和)でも、銀行の預金口座の出し入れなどを電話で扱う代理店が営業を認められ、これが後にスーパーマーケットが銀行業に参入する素地になったという先例があります。ただ、アイワイバンクは自前のATMネットワークを持っており、単なる英国式テレフォンバンキングサービス会社でも、また逆に単にATMを保有して自販機のように動かす米国のATMドライバーでもなくもっと幅が広いところが独特で
す。

当局が新規参入をどの程度認めるかによって、セブン銀行のライバルがどのくらい出現するか変わるとも言えなくもありません。しかし、法律上既に銀行であるアイワイバンク銀行(セブン銀行)が付随業務として他の銀行や保険会社の代理
店を兼ねるのと、銀行業務の経験のない企業がいわばまっさらで銀行代理店業務に参入するのとでは、従業員の訓練や経験一つとってもだいぶ差がありそうで、許可という参入規制の強度が全てを決するというわけではなさそうです。

既に銀行業務の経験があるセブン銀行が、全国のセブンイレブンでPOSレジを駆使して、代理業務とくにセブン銀行の預金送金業務を核とした各種金融商品の販売代理店業務を扱えるようになれば、英国のTescoにも匹敵する強力なリテールバンキングネットワークができあがるかもしれません。

その意味では大型合併・買収のような派手な空中戦よりも、こうした地道なイノベーションが金融業界を実は大きく変えていく可能性があると思います。

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