会社法改正
金融メルマガ第41号(7月13日配信)
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●ローマ風ピザの作り方
暑くなってきましたね。ビールにも、冷やしたスパークリングワインにも合うパリパリのピザの作り方を「日向野研究室」に載せました。小麦粉から生地を練って発酵させる、結構本格的な作り方です。気温が高いので、発酵も早く進み、生地も三十分か一時間あれば作れます。蓋つきの鉄鍋とカセットコンロと流しくらいがあれば、屋外でも充分できます。
●会社法改正
6月29日に新しい会社法が成立しました。来年4月から施行されます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050629-00000019-maip-bus_all
まず、有限会社がなくなり株式会社に一本化されます。従来設立された有限会社が引き続き有限会社を名乗り続けることはできますが、新しく有限会社を作ることはできなくなります。
また、株式会社の資本金には1000万円という下限があって、それが「1円」にまで引き下げられ、設立後5年以内に1000万円用意できればよい、というふうに緩和措置が一時的にとられていたのですが、今度の改正で五年以内に1000万円用意する必要もなくて、ずっと1円でよいことになりました。
株式会社も二種類に分かれて、公開でない株式会社の場合、取締役会がなくてもよいし、取締役会がなければ取締役も1人(以上)でよくなります。
さらに、こうした株式会社以外に、新しく「合同会社」(いわゆる日本版LLC)という制度もできました。これは小規模な有限責任の新たな会社制度で、従来の有限会社と違って出資額と比例しない報酬の受け取り方を定款で規定できるような自由度のあるものです。従来の有限会社ですと、出資者は(従業員として働く
場合の給与は別として)出資した額に比例した報酬しかもらえないので、科学者や技術者が、頭脳や技術を提供して会社を始めるようなベンチャー企業向きであると言われています。
このように、会社法の改正は久しぶりの大がかりなものですが、そもそも会社法というのは必要なのか? という議論もあります。つまり、民間主体同士の取引は民法などに縛られ保護されていますが、それに加えて会社法という枠組みが必要なのかどうか。会社を作るときに作る者同士が報酬の分け方などを約束(契約)
しておけばそれでよいので、国や自治体がその契約の仕方に介入しなくてもいいのではないか、契約の仕方がまずければ株主からも人気がなくなるだろう、という議論です。
この議論はいかにも経済学者好みではありますね。しかし、大企業であればともかく、小さな企業を始めようという人たちがわざわざ色々な場合を想定した契約書を(弁護士に相談しながら)作るのに任せるより、国や自治体がそのモデルをいくつか提供すると社会的にも資源の節約になるのではないかと考えられます。その意味では、会社法の存在意義はむしろ中小企業についてこそ大きいと言えるでしょう。
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