High noon in Sydney
91年春、訪問・滞在先のUniversity of Sydneyに朝一番で顔を出し、学部長と何人かの教員たちに挨拶し、部屋の鍵を受け取り、要望していたMacintoshも無事借りられて、初日にして万事が順調に進んで、大学に持ってくる品々を揃えるため昼前にいったん帰路についた。行きはバスだったので帰りは電車を使ってみようとRedfern駅から地下鉄に乗る。今度は地下鉄で痛い目に遭うこともなく、自宅最寄りのTown Hall駅に着く。
この駅で降りるのは初めてだが、地図が頭に入っている男は違うのだ。少し前に流行った(かもしれない)「話を聞かない男・地図を読めない女」という本だって、男は地図を読めるものと前提しているらしいではないか! (女だって地図は読めるわよという話はちょっと待ってほしい) 自宅は駅の北西約500米のはずである。迷っても真西に向かえばDarling Harbourに出るので、湾ぞいに涼しい風にふかれてちょっと歩けば帰れる。幸いよく晴れて、真昼の太陽が頼もしげに輝いている。
20分後、私は困惑していた。海に近づく気配がない。立ち止まって地図を再び見ると、めざす方角とはちょうど逆に歩いてきてしまったようだ。日本でも欧州でも米国でも、地図さえあればどこにでも行けた私としたことが・・・
間違いは太陽を頼りにしたことであった。いや、太陽の名誉のために正確に言い直すと、太陽を間違った方法で頼りにしたことだった。正午に太陽のある方向を南と考えて、北へ行きたければ太陽を背にして進む。南半球にあるSydneyではこれが逆なのである。昼ごろに太陽の方向に進めばそれが北である。太陽は昼前後に南中するのではなく北中する。南向きは陽当たりの悪い住宅であり、北向きが良い。日本と季節が逆なのは上陸した時から体感できたが、太陽の方向は確かめていなかった。
地図が読めると思っていた男は、地球儀は読めていなかったのだった。
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