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2005年2月12日 (土曜日)

Bad boys

Sydney大学への通勤には、その後も毎日のようにRedfern駅を使っていた。あの辺は悪い奴らbad boysがいるから気をつけな、と大学の用務員のJohnに言われたことがある。bad boysとは誰のことかはじきに分かった。少数民族のAboriginiである。

その後どっちがbad boysなんだか一層分からなくなるできごとも経験した。Sydney市内の横断歩道を渡っている時に若い白人2人が乗ったpickup truckが目の前に止まり、こっちを見ながら"You should have been killed by VC."と言っているのが耳に入った。VC=Vietcongである。

出発前のにわか勉強で知ったのだが、Vietnam戦争の難民・亡命者が大量に豪州に流れてきていて、低賃金でも勤勉に働くので結果としてAussieたちの職を奪うような現象があちこちで起きていたようだ。確か経済全体も不況期であったと記憶する。そういう時期に安い外国人労働が流入すれば人種偏見に拍車がかかるのは多くの国で経験されてきたことだろう。豪州は白豪主義の時代が長く続いたために、当時は混在の経験ゼロに近い状態から「多文化主義」の実験を始めたばかりのところだったのかもしれない。

件の二人組は、私がたまたまVC発言を聞きつけて睨みつけたところ、驚いたことに慌てて手をあげて笑顔をつくろう中途半端な差別主義者であった。差別の初心者とでも言おうか。町を車で流しては、気が向いたときに通りかかったAsiansにそういった暴言を吐くことを始めたような風情だ。(米国南部あたりではそういう暴言と一緒に間髪入れずに何か飛んできたりしかねないだろうから、にらみ返すのにも危険があるかもしれない。これは僕の南部偏見だろうか?)

しかし差別初心者の若者の父親は、僕に忠告してくれたJohn某のような人であって全く不思議はない。John某が、僕のことを客員研究員であるとも日本人であるとも知らず町で出会えば、どんな顔をするだろう。その意味で、白豪主義の時代に育ったはずのJohn某のほうが、Redfern付近にいる少数民族よりもむしろ不気味に思えた。

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