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2005年1月22日 (土曜日)

Speak English?

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2004年4月、ローマに着いても最初の数日は雨まじりで肌寒くフランクフルトとセーターが手放せないので驚きました。今回の出張では三番目の国で、外国にいること自体には慣れましたが、やはりイタリアのインパクトは独特ですね。北部のミラノあたりだと、例えば夜中にミラノ駅前に急に降り立ったとすれば、字がイタリア語なのを除けば、ここはドイツですよと言われてもそうなのかもと思えなくはない景色です(ミラノ在住経験者とかは除く)。しかしローマはミラノとは違って、なんとなく猥雑な感じがして、ニューヨークにも似ています。でもニューヨークの戦闘的な感じとも違いますかね。南国であるせいでしょうか。

●英語とイタリア語とジェスチャー

イタリア語の話せない旅行者としてはまっさきに英語の通用度の違いに気づくわけですが、空港や列車(Trenitaliaという全国鉄道)は、乗客と接点のある職員はほぼみな英語を話せました。しかしローマ市内の地下鉄はだめでした。でも通じなくても声に出して話し続けないとジェスチャーの調子も出ません。切符はどうこの機械を通すんだとか、一日券はどこで買うんだとか、皆この方式で訊きまくりました。こういうとき黙ってジェスチャーするより(英語でなく)日本語でも話しながらのほうが、黙っているより良いに違いありません。

尋ねて答えてくれるかもしれない相手が周りにいる限りは、通じない言葉であっても尋ねてしまったほうが、立ち止まって『地球の歩き方』なんぞめくっているよりよほど現地に慣れる早道ではないでしょうか。(ついでに言うと『地球の歩き方』は細かい情報が書いてあるように見えるわりに細かいところで間違っていたり、宿やレストランの批評はでたらめだったり、なんと言っても素人の執筆ですから、頼りにするとロクなことはないですね。宿やレストランの側でも『地球の歩き方』を手に持っている客はカモにするところもたくさんあるようです。その点Lonely Planetを持っている客はケチで手強いぞ。翻訳版もありますよ)

ジェスチャーは必要になることしばしばですが、それでも80年代にローマを訪問したときよりは英語を話せる人が増えた気がします。やっぱりEU統合の影響でしょうか。

●隣席の人々

なじみになったローマの店でも、他の店でも、一人で入った店で店の人と話しながら食事していると、イタリアでは隣席の人から時々声をかけられました。イタリア以外の国ではあまり経験しなかったことですが、声をかけてくるのはドイツ・アメリカ・オーストラリアといった国からの旅行者、それに地元のグループ客が多かったようです。

neighbors1.jpg

メニューを見るときに「イタリア語わかんないんだもんね」とか聞こえよがしに言っておけば、そのうち声がかかることも発見。メニューをデジカメで撮るとかいうヨソ者丸出しも効きます。 「そのカメラ随分小さいわね」(と多分言っているんだろう)「ジャポネーゼです」とか。二人用の席なら壁に向かって座ったらアウトですから思い切って店の中央に顔を向ける側に座ることも大切です。

相手が英語や日本語を話せないと会話としてはそれ以上はあまり進展しないんですが、それでも時々やりとりがあれば楽しく堂々と小一時間を過ごせます。言葉が通じる相手だと酔いも手伝ってすごく話が弾んでしまうこともありました。nativeよりドイツ人あたりは互いに外国語なので対等な感じで話せて特にリラックスできます。ロンドンで行ったパブのようにもともと社交の場であるようなところでなく、リストランテでもそうなるのは開放的なイタリアの風に旅行者も影響されるんでしょうか。あるいはリストランテはイタリア人にとってもそういう場所なのかもしれません。

ドイツと違って、平日に仕事で英語か日本語を話せる人を探すのに苦労しているのに、休日もその苦労は続きます。が、良いこともなくはありません。日曜に郊外のコロッセオに行くにはどのバスに乗ればいいのか、と僕が地元民に次々に聞いて回っていたら、同じく困っていたらしいオーストラリアの老夫婦が合流してきました。なんとか現地にたどりついて見物しているときに「コロッセオで殺し合いを見て楽しむなんて、ローマ人は残酷ね」と奥さんが言うと(まあありがちの感想ですよね)、旦那のほうが「Everybody is cruel each way.」なんてさらっと言っててドキリとさせられました。この旦那さん、元技師だそうで、とても博識なかたでした。

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