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2004年12月12日 (日曜日)

金融メルマガ第34号

元の記事の中には各ニュースごとに日本経済新聞の抄録のurlが
書いてあったのですが、時間が経ってlinkが切れてしまったので省略し
てあります。このメルマガは現在も毎月発行されています。
申し込みはこちらからどうぞ。(2005年1月追記)

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【金融メールマガジン 第34号】

日向野幹也(東京都立大学経済学部教授)
url: http://www.ann.hi-ho.ne.jp/higano
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●ちょうど滑り込みで「会社法改正」の方針が決まりました。
http://
法制審議会で決まったので、法務省が来年の通常国会に法案を提出し、可決されれば2006年から施行されることになります。『南君の金融日誌』にも関係の深い法案ばかりです。

主な点を解説していきましょう。

(1)株式会社の設立に必要だった一千万円の最低資本金は、1円でいいことになります。これは起業を容易にするために「五年以内に一千万円用意すればよく、最初は1円でよい」と緩和されたものが「五年以内ではなくずっと不要」という
ふうにさらに緩和されるものです。これにより株式会社の設立が容易になるのはほぼ間違いないところです。が、逆に2006年以降は、「株式会社○○社長」といってもそれだけではあまり偉いと思ってもらえないという副作用も出てくるでしょう。つまり株式会社であることが持っていた信用力がなくなるということです。

(2)これによって有限会社制度は意味がなくなるので制度が廃止されます。『南君の金融日誌』の第4章でプチエコーを有限会社として設立するくだりがありますが、それは2006年からは現実には見られない光景になるわけですね。なお、
それ以前に有限会社△△として設立した会社がそのまま屋号を使うことは構わないことになります。ただ、有限会社という呼称にこだわって使い続ける経営者は少なそうですね。

(3)オンライン版には載っていませんが、この他、「合同会社」制度が新設されます。これはアメリカのLLC(limited liability company)の日本版で、例えば、出資額と配当が比例しないような自主的取り決めを許容するものです。こう
すれば、小さな出資しかしていない経営者に大きな配当を渡すことを約束できるので、外部から経営者を招きたいけれどキャッシュがないような時に成功報酬として(ストックオプション以外に)これを使えることになります。

全体に、出資者(株主)と経営者が合意のうえで配当の出し方を変えたり、取締役会をなくしたりしても構わないじゃないか、という「定款の自治」つまり会社の定款は会社を作る人・出資する人たちに任せるという考え方がいっそう強くなっている改正ですね。

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