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2004年11月14日 (日曜日)

金融メルマガ第33号

元の記事の中には各ニュースごとに日本経済新聞の抄録のurlが
書いてあったのですが、時間が経ってlinkが切れてしまったので省略してあります。このメルマガは現在も毎月発行されています。申し込みはこちらからどうぞ。(2005年1月追記)

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【金融メールマガジン 第33号】

日向野幹也(東京都立大学経済学部教授)
url: http://www.ann.hi-ho.ne.jp/higano
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●無許可で債権回収

米国人コンサル会社社長を逮捕、無許可で債権回収の疑い
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南君の本では第9章や11章に関係してきます。日本の法律では、1998年まで(他人の)債権の回収は弁護士だけに許される仕事でした。しかしこれでは不良債権の処理が進みませんので、法律を改正して、法務大臣の許可した企業がこの業務を行えることになりました。これがいわゆるサービサーで、この法律もサービサー法と通称されています。

最初にこのサービサー業に参入したのは外資と、それから国営の整理回収機構でした。その後信販業界が続々参加し、銀行も子会社を作って参入を始め、今では整理回収機構の出番が減るほどに民間が活躍しています。

逮捕された米国人コンサル会社社長はどんな人なのか知らないのですが、「日本の法律が遅れているのだ」と供述しているとも伝えられています。しかし日本の法律も上のようにだいぶ変わってきています。

そもそもどうして98年まで弁護士に限定していたかというと、暴力団が回収請け負いなどを本格的に行うようになってはいけないという配慮からでした。それから、債権を売買することも今ほど多くなかったので、サービサーや回収業の活躍
する案件自体もいまほど多くはありませんでした。それがバブル崩壊以後、どこの銀行も大量の不良債権を抱えて、90年代末には市場の圧力から早く処分しないとどうにもならない段階になってきたために一気に債権の転売が進んだわけです。

●監理ポスト

いま新聞の株式欄を見ると、東京証券取引所第一部の「監理ポスト」に西武鉄道、日本テレビ、カネボウなど馴染みのある企業名がずらりと並んでいます。これはいずれも、上場を維持するにはある程度多数の株主に株が分散していなくてはいけないという東証の上場基準・上場廃止基準にひっかかる恐れがあって調査中だからです。調査結果を投資家が予測して株価が上がったり下がったりしています(上場については南君の本では12章です)

西武鉄道については、大口の株主の中に、頼まれたから買ってあげたのに、上場を維持できないかもしれないという重要な事実を隠していたのだから買い戻せと言っているところが続出しています。もし裁判や交渉で西武鉄道が買い戻すこと
になれば莫大なキャッシュが必要になるので、球団が売りに出るのではないかとも言われているところです。先月号でも取り上げたダイエーも、産業再生機構の管理下に入る前の今月中に急げということで球団をヤフーに売ることになったよ
うです(売値は200億円と伝えられています)。

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このように、ホークスはダイエーの再生、ライオンズは西武鉄道株の保有状況から発した問題で、どちらも金融がらみですね。

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