独ゲルトカルテの現状(その2)
前の記事でゲルトカルテは匿名、と書きましたが、匿名でなくすることもできます。下にある写真で、小生の名前が刻印されているものはパーソナライズした後の、匿名でないゲルトカルテです。(下に続く)
写真下はゲルトカルテGeldkarte。上側が汎用、下側はIdstein市内のキャンペーン機能つき。どちらも左の方に金色のICチップが載っているのが見えます
(ネット上にカード番号入りのこんな写真載せて平気?というご心配は無用。パーソナライズされていると言っても、預金口座とリンクしているわけでもないし、クレジットやデビットの機能も兼ねていませんので、要するに定期券でないSuicaや、懐かしいテレホンカードの写真を載せているのとほとんど同じです。)
また1997年以降に発行されたデビットカードにも全てゲルトカルテ機能が付いているそうで、デビットカードが匿名でない限りでこのゲルトカルテ機能も匿名ではありません。ただし、ゲルトカルテ部分を使うときに支払いを受け取る側からは匿名に見えるはずです。そうでないとゲルトカルテとデビットカードが同一カードに載っている意味がほとんどなくなります。
しかし最近、ゲルトカルテのそうした匿名性をさらに危うくするとも思える論議が聞こえてきました。年齢などの個人情報の入ったゲルトカルテを使わないとタバコを買えないようにしようというものです。Hi-tech Serurity SolutionsのSmartcard Briefs(2003年4月)によると、ドイツ連邦政府の「タバコは16歳未満の者に売ってはならない」という方針に対してタバコの自動販売機業者がゲルトカルテを使って対応しようということになったようです。2007年1月までには全国の自販機がゲルトカルテ対応になります。デビットカードに載ったゲルトカルテのチップに、年齢条件をクリアしているかどうかを表すコードが書き込まれており、自販機はこのコードを読みに行って受け付けるかどうかをまず判断します。OKとなれば、その後はゲルトカルテまたは現金かでタバコの代金を払って買うそうです。(ゲルトカルテ公式サイトにも、同趣旨のことが主に自販機関係業者向けのメッセージとして書かれています。)
もともとゲルトカルテは公共交通機関や駐車場(最上部の写真、Idstein市内)や自動販売機で使う小銭の代替物として考案されたのですが、リロードの手間を軽視しているためかあまり普及せず、何か存在意義を見いだすために、地域通貨として使ってみたり、このように年齢制限をクリアするための間接的なIDつき通貨として使ったり、と試行錯誤を繰り返しているように思えます。
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