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2004年8月31日 (火曜日)

「最低」の企業統治(その3)

google経営陣の異端ぶりはIPO(株式の新規公開)の方法にも現れていた。IPOの伝統的な方法は、投資銀行にいったん株式を全額買い取らせて(アンダーライティング)、売れ残りのリスク(売り出し価格設定ミスやタイミングの選択ミスによって、売り出し中の株式が売れ残るリスク)を負担させ、その見返りにリスクに見合う引き受け手数料を払うというものである。この引き受け手数料が幹事投資銀行の最も大きな収入になる。

ところがgoogleは売れ残りなんてないor売れ残ったら自分たちが引き取るからいい、と思ったのか、この伝統的な方法を拒否して、投資家と直接取引するオークション方式を選んだ。これによって収入の減るのを嫌った幹事証券会社(投資銀行)の一つメリルリンチは、6月に幹事を辞めてしまった。これも異例である。

その後もIPO直前に経営者がインタビューに応じたためにSECが反発するなどの悶着があったが、オークションで成立した価格を上回る流通市場価格で取引され始めたため、オークションで株を買った投資家は早速キャピタルゲインを得たことになる。その意味ではこの異例づくめのIPO自体はひとまず成功だったことを認めないわけにはいかないだろう。

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