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2004年8月13日 (金曜日)

ゲルトカルテの現状(その1)

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ゲルトカルテは、公共交通機関や駐車場で使われている電子現金(e-purse)で、日本でも97年から99年頃にけっこう話題になりました。ドイツ国内では他にネット専用の電子現金がありますが、ゲルトカルテは全国ブランドではそれと並ぶもので、銀行などが出資するEurokartensysteme社が運営しています。

しかし今回見たところ、実態はJR東日本のSuicaが駐車場や一部の商店にも使えるように拡張されたもの、という程度だし、金額も小さいのでなかなか収益事業として成長するのが難しいようです。今回は、結果としては欠点ばかりが見えてしまったという感があります。

しかし各地の見学をアレンジしてくれた現地のドイツ人と親しくなってかなりいろいろ話したこと、それから各地の見学先でこれまたいろんなドイツ人に会えたのが収穫でした。ついでに地元FM局に出演もしちゃいました。(下に続く)

まずフランクフルト市内の駐車場で使い方のデモをしてくれたのですが、買い物などを終わったときにまず自動の支払機で払ってから車に戻るのが従来のやりかた、それをゲルトカルテならば帰りに乗ったまま払える、というのです。しかもデビットカードと違って匿名なのでいつどこの駐車場を使ったかをBig brotherに知られる心配はありません(Big brotherというのはジョージ・オーウェルの「1984年」という小説に出てくる、個人情報を全部把握している公安当局みたいなもので、ネットでのプライバシー問題ではよく使われる比喩ですね)

しかしゲルトカルテの残高が足りないと、デビットカードから転送したり現金で充填したりする必要があって、もともと現金使用頻度の高いドイツ人は、それなら最初から現金で払えばいいじゃんかと考えているのかあまりゲルトカルテでは払われていないそうです(だからこそゲルトカルテ側=Eurokartensysteme社=はキャンペーンをしているわけでしょう)

近郊のIdsteinという市は、ゲルトカルテを使っていることは使っているのですが、地元商店街で買い物すると商店街共通のポイントカードにポイントがたまって、駐車場もタダになる、というごく分かりやすいというか簡単な話です。実のところ、これならゲルトカルテなんていう仕組みを使うまでもないんですがね(この市には地下鉄はありませんし)。その意味では地域促進の性格の方が強いプロジェクトです。Idstein市内で買い物で貯めたポイントはまたIdstein市内で使える、市内駐車場でも使える、というわけですので、地域通貨の面もあると言えます。

もう一つTrierという市は、アルプスより北側では一番多くローマ時代の遺跡がある町だそうです。ここでも地元の銀行が主体になって、Trier大学キャンパスや商店街でゲルトカルテの普及キャンペーンが行なわれていました。公共駐車場で駐車料金を払おうとしている人のところに美男美女のキャンペーン隊を配置して、「ゲルトカルテでお支払いいただけるなら、最初の5ユーロ入りのを一枚進呈します。アンケートに答えていただくと抽選で賞品もあたります」とかやっていました。キャンペーンついでに地元FM局にインタビューされて、英語で数分話したのですが、昼頃収録で午後4時半にオンエアと言ってたのが予定変更で3時半に放送されてしまい、聞き逃しました。

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