ローマ式ピザの居場所
モチモチ感のナポリ式ピザは、今や日本で大流行の兆しがある。イタリアに本部のある「真のナポリピザ」協会に加盟する日本の店も出てきた。
宅配ピザやシェーキーズのようなピザは、具が乗っている部分が肝心で生地のはじっこなど食べないのが普通だが、それはアメリカンピザの習慣であって、ナポリ式ピザなら生地、それも縁側こそが美味しいのだそうである。(ナポリ式ピザについては渡辺陽一『至福のナポリピザ』NHK生活人新書、が楽しい)さらに最近ではアメリカ式宅配ピザ屋がナポリ式と称するものもメニューに加えるようになってきた。(下に続く)
しかしこのナポリ式ピザ、日本で流行っているのは、パスタ同様に、コース料理の一つとしてではなくて主食としてのようである。ナポリ式ピザ1枚を平らげたあとに平然とメインディッシュ(secondi)に進むことのできる胃をもつ日本人は、そう多くない。その結果ナポリピザは、重めの昼食や、カジュアルな夕食のメインディッシュになる。そのようなフィールドでアメリカ式とナポリ式が競っていることになる。
ナポリ式(東京のナポリ式ピッツェリアにて)
しかし薄くてパリパリのローマ式にはますます居場所がない。もともとコース料理の二番目、つまり前菜とメインディッシュ(secondi)の間に食べる軽いでんぷん質で、空腹度によってはスキップされてしまう、それこそ軽い存在ではあった。それでも本国イタリアではナポリ式かローマ式かというのは関東の蕎麦と関西のうどんというように古典的なライバル関係らしい。ところが日本ではローマ式の出番はなく、ナポリ式と対峙しているのはアメリカ式の具と油のたっぷりしたピザなのである。
それでは本邦におけるローマ式パリパリピザの安息の地は何処に?
私の大胆予測、それは「居酒屋」である。上に大した具が乗っていなくても、ビールやサワー系・カクテル飲料のつまみとして最高である。アイリッシュパブの「ダブリナーズ」では多くの人がギネスなどの英国ビールを飲んでいるが、つまみとして出てくるピザはローマ式で、これが結構人気メニューらしい。実際、ギネスビールにもよく合うのである。
パリパリのローマ式なら実は本格的な石釜がなくても、蓋のある鉄鍋(例えばダッチオーブンやスキレット)があれば比較的簡単にできる。イーストで膨らませるところまで準備してあれば、延ばして乗せて焼くのにそう時間もかからない。この点も居酒屋に好適である。既にそういう居酒屋があるかもしれない。
(一番上の写真は、ローマ市内でテイクアウト。ピザ手前部分の湾曲はかじった跡です、すみません)
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