アップルワイン居酒屋
フランクフルトに近いザクセンハウゼン地区にある、地元民しか行かないような居酒屋に連れて行ってもらいました。ザクセンハウゼンは観光地で、外国人も多いのですが、少しはずれたこのあたりの店にはドイツ人しか来ないと言います。
実際、東洋人は全然いないし、周りは日本人がいだいているイメージの白人のドイツ人ばかり。物珍しそうに僕らのほうを時々ちらちら見ているふうですが、じき皆自分たちの話に夢中になってきて視線を感じなくなります。そうそう視線と言えば、訪れた郊外の銀行Sparkasseの社員食堂でも注目を浴びましたが、そのときはもっと横柄な視線だったので、連れは「あれが誇り高き貯蓄銀行Sparkasseの人たちさ」と肩をすくめていましたが、ここではそういう視線ではありません。
さてこの居酒屋は、木のテーブルに3〜4人がけのベンチが二つで6人から8人席。他の客と相席が当たり前で、我々が着席するとまもなく満席になりました。我々は通路側に向かい合った席で、僕の隣二人はカップル、もう一組は男同士で、ぶつかったら「すんません」くらい言うけど、話に入るわけではないです。店内は日本の居酒屋のようにお客さんの話し声で賑わっていて、「北部出身だから控えめ」を自称する連れと僕では声量で負けてしまいます。
日本では、客同士が肩を組んで歌っている南部のビール祭りみたいなものが紹介されていますが、ああいうことはフランクフルトでは起きないそうです。ミュンヘンを含むもっと南部の方でビール祭りのたぐいが確かにあるのですが、南部の人たちは意外に閉鎖的でよそ者に冷たく、他方北部は控えめで、結果として外国人や他地方の者にも最も開放的なのはケルンとかボンあたりの人だというのが彼の説です。
店内では記憶力・計算力のすごいおばさんが一人きりで、客を席まで案内し座らせ、注文をとって配膳して勘定を計算して数十人の客をさばいています。決済は現金のみ。あれほどポピュラーなデビットカードもここではダメ、クレジットカードもダメ、もちろんゲルトカルテもだめ。料理はまあ家庭料理というか、定番のマッシュポテトほかポテト料理にザウアークラウトがあって、あとはいろいろな肉や魚。
食べ物はだいたい予想通りですが、意外だったのは誰もビールを飲んでいなくて、みんな大きな壺に入っているアップルワインを飲んでいること。そういう居酒屋なのでしょう。別段甘くはなくて、ちょっと変わったワインです。フランクフルターには人気のある飲み物らしいですが、そういえばフランクフルト郊外Trier市の貯蓄銀行Sparkasseで聞き取り調査に応対してくれた中年銀行員F氏が別れ際に「フランクフルトに戻ったらK君とアップルワインでも飲みにいくんでしょ? 俺はあれはごめんだけどね。やっぱビールでないと」と苦笑いしていました。
K氏(左)、F氏(中央)、筆者
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