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2004年7月の1件の記事

2004年7月 8日 (木曜日)

金融メルマガ第29号

元の記事の中には各ニュースごとに日本経済新聞の抄録のurlが書いてあったのですが、時間が経ってlinkが切れてしまったので省略してあります。このメルマガは現在も毎月発行されています。申し込みはこちらからどうぞ。(2005年1月追記)

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【金融メールマガジン 第29号】

日向野幹也(東京都立大学経済学部教授)
url: http://www.ann.hi-ho.ne.jp/higano
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●株主総会

6月下旬、特に23日は多くの上場企業の株主総会が集中した日でした。十年前までですと、同じ日であるばかりではなく、ほぼ同時刻に集中していました。これは主に総会屋が出席して議事進行を妨害するのを少しでも
防ぐためでした。当時は株主総会はもちろんのこと、平素から、一般投資家に向かって自社の情報を積極的に開示して好印象を持ってもらうという発想を持っていた企業は皆無に近く、総会屋は逆にそこを突いて、総会に
株主として出席して荒らすぞと会社を脅し、金をとっていたのです。

その後法律を後ろ盾に警戒が強化されたのと、もう一つ、暴力団が、総会屋よりももっと割のいいビジネス、たとえば不良債権がらみの担保物件の競売に関して、現地に住み込んで妨害する執行妨害などに活動の場を移し
たこと等があって、今では総会屋対策に力をそそぐ企業は激減しました。それだけに西武鉄道が総会屋に利益を供与していた(実質的に金を払っていた)ことが明らかになったときには「いまどき総会屋対策をするなんて
何と無駄な」と驚きの声もあったように記憶しています。

http://www.nikkei.co.jp/

では総会屋の活動がめっきり下火になり、株主総会が晴れてコーポレートガバナンスの主役になったか、というとさにあらず。票数は普通株の持ち株数に比例する(『南君の金融日誌』第8章)のですから、機関投資家や創業者一族などの大株主の意見を総会よりはるか前に聴取しておいて、同意が得られるように議案を作っていくのが普通であって、総会は、人数は多いが票数は少ない個人株主から当日その場で了承を得る最後の仕上げの
セレモニーです。この点は実は昔も今も同じです。

そんなセレモニーに過ぎない株主総会がなぜ大きく報道されるかというと、企業側が、自社が投資家広報に熱心であることを印象づけるために総会を華々しく演出し、個人株主と社長が直接話す懇談会を設けたり、マスコミの取材を歓迎するようになったからに過ぎません。そうした派手な総会のニューズバリューは徐々に下がっていき、来年か再来年の株主総会の報道は、不祥事や大赤字などの問題をかかえる企業が中心になっていくだろう
というのが私の予想です。

自動車大手の株主総会
http://www.nikkei.co.jp/

近鉄株主総会
http://www.nikkei.co.jp

●和民

7月7日の日経朝刊第二部は進学広告特集ですが、その第一面(全面広告)に東京の私立学園の理事長として顔写真が載っているのが、和民(わたみ)の社長・渡辺氏です。和民は若い方々はご存じの居酒屋チェーンで、創業者であるこの渡辺氏は第10章(p.126)にとりあげた「つぼ八」のフランチャイズ店長としてこの業界に入った人です。既にこの業界では成功者と言えるでしょうが、この人が教育問題に関心をもっているらしいのが若干興味深いところです。なお、師匠である「つぼ八」創業者の石井氏の方も、大株主になった商社に「つぼ八」を追われてからまた自前で居酒屋チェーンを起こしていてまだ現役と聞きます。

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