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2004年6月の1件の記事

2004年6月10日 (木曜日)

金融メルマガ第28号

元の記事の中には各ニュースごとに日本経済新聞の抄録のurlが
書いてあったのですが、時間が経ってlinkが切れてしまったので省略し
てあります。このメルマガは現在も毎月発行されています。
申し込みはこちらからどうぞ。(2005年1月追記)

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【金融メールマガジン 第28号】

日向野幹也(東京都立大学経済学部教授)
url: http://www.ann.hi-ho.ne.jp/higano
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●個人保証

『南君の金融日誌』の数カ所(p.44,95,105-107,143)で言及している企業債務の個人保証ですが、最近のアンケートによると実に中小企業経営者の84%が個人保証をさせられているそうです。これが再生への取り組みを遅らせ、ひいては起業への意欲をそいでいるのではないかという意見が有力になってきて、法改正作業が行われています。本のp.107の「政府も個人保証の制限を検討中」の続報がこれです。

個人の包括根保証、無効に
http://www.nikkei.co.jp/

根根保証というのは、保証額が変動してもいちいち保証契約を結び直すことをしなくてよいという契約であり、貸す側には実に都合のいい制度ですが、保証する側には自分がいったいいくら保証しているのか常時把握するのを困難にします。
この改正案は、金額を明示しない保証契約は無効であるというものです。外国ではこれ以外に個人保証の割合や金額に上限を設けているところも少なくありません。

●再生(再建)ファンドの動向

6月8日の日経朝刊に再生ファンドがてがけている日本の企業再生10件の業績見通しが、前の期には「5勝5敗」ペースだったのが、今期は「9勝1敗」になっているという記事がありました(6/8現在ではオンライン版には載っていません)。

既に再建中の案件についての報道も多く、

村上ファンドが東京スタイルやニッポン放送の経営に株主として発言
http://www.nikkei.co.jp/

再生ファンドがダイエーの筆頭株主に
http://www.nikkei.co.jp/

など。また新しい案件もたくさん出ています。

米大手カーライルがPHSのDDIの買収を交渉中
http://www.nikkei.co.jp/

さくらや買収へ
http://www.nikkei.co.jp/

三菱自動車に再生ファンドから役員
http://www.nikkei.co.jp/

日本の企業再生においては、もはや外部の投資ファンドが参加すること自体はあまり珍しくなくなったと言ってもいいでしょう。『南君』では第11章で登場します。

●6月8日の日経朝刊には、中古厨房販売の会社が、不振のラーメン屋や居酒屋に対して、相談料時給制で再生のアイデア提供をするという試みが紹介されていました。うまく再生できれば厨房設備を買ってくれる可能性が高まるというとこ
ろに目をつけたようです。うまく再生できたら持ち株を売っておさらばしてしまうファンドとはまた違う意味で明快な動機を持っていますね。時給制で提供されるアドバイスが、どのくらい実際に採用され、どのくらい効き目のあるのか興味深いところです。

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