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2004年5月の1件の記事

2004年5月15日 (土曜日)

金融メルマガ第27号

元の記事の中には各ニュースごとに日本経済新聞の抄録のurlが
書いてあったのですが、時間が経ってlinkが切れてしまったので省略し
てあります。このメルマガは現在も毎月発行されています。
申し込みはこちらからどうぞ。(2005年1月追記)

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【金融メールマガジン 第27号】

日向野幹也(東京都立大学経済学部教授)
url: http://www.ann.hi-ho.ne.jp/higano
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●立ち飲み事情:英国とイタリア

南君は第6章でちょっとだけイタリア風の立ち飲み屋を始めます。メルマガ前号ではロンドンのパブのことを書きましたが、イタリアには、ご存じBar(バール)があります。パブにはかなり重い食事も用意してありますが、パールにあるのは軽食のみです。それにアルコールもなくはないですが、ローマで見た限りでは、何時間もいて何杯も飲むというふうではなく、むしろ飲み物としてはエスプレッソを得意とし、アルコールは食前酒程度という店が多く、従ってお客さんの多くもそれほどは長居していないようでした。

また、朝から開いているBarが多いのに対して、夜は多くのBarが閉まるので、日本語の「バー」のイメージからは遠く、「カフェ」にあたるもののように思えます。夜飲むときは食事する店(リストランテやトラットリア)か、あるいはBarでない飲み屋に行くのでしょう。イタリア各地のBar事情・飲み屋事情についてご存じの方は教えていただけると幸いです。

●約束手形のこと

『南君の金融日誌』第3章で、南君の店のお客さんであった橋本さんが古典的な手形詐欺の被害にあうのですが、この手形について少し補足をしておきます。

(1)手形そのものの仕組みについての補足
借りる人・支払いを延期したい人(A)が自分宛の手形を書いて相手(B)(貸してくれる人・支払いを待ってくれる人)に渡します。貸してくれる人(B)がたまたま銀行である場合(銀行の手形貸付と言います)は別として、そうでなければこの段階まででは銀行は関与しません。手形を受け取った人(B)が、その後自分で持っていることもありますし、あるいは他の人(C)(D)...に譲渡することもあります。

そのうちに支払い期日が来ます。すると普通はその時点で手形を持っている人(持参人つまり(B)あるいは(C)以下)は、どこかの銀行に手形を持ち込んで、(A)から手形に書いてある通りの金額を取り立てることを依頼します。持ち込まれた銀行が直接(A)に連絡したり、あるいは別の銀行に依頼してその銀行が連絡して、(A)が銀行を通じて払うことになります。
このとき払えないと不渡りになり、銀行が間に入っていますからこの不渡りのニュースは金融業界にすぐ知れ渡ります。半年の間に二回不渡りになれば、どの銀行も取引(貸出や小切手使用)してくれなくなります。これが「銀行取引停止処分」です。これが怖いので(A)はきちんと支払うことに全力をあげます。

そのことが(B)(C)...の人たちが安心して手形を受け取ったり譲渡したりすることに繋がっているのですが、実はこれが手形詐欺のつけこむところでもあるわけです。(B)がパクリ屋で、手形をだまし取ったような場合でも、期日が来て払わなければ(A)は不渡り手形を出してしまったことになるので、だましとられた手形であっても不渡りになってしまうのを怖がる人を脅して、手形で約束された以外の金を脅し取る輩が出てくるのです。

(2)最近の手形の動向
日本経済は不況から脱出するかどうかという局面ですから、ここまで数年取引停止が増えているだろうと思うと、意外にも取引停止の件数は前年同月比で十数ヶ月連続して減少を続けています。

取引停止の減少
http://www.nikkei.co.jp

この中で民事再生法適用になると取引停止にならない、というのは、不渡りを出しそうになって民事再生法適用を申請し適用されることになると、手形を含めて債権者からの取り立てが猶予されるからです。民事再生法については、『南君の金融日誌』では第11章で説明しています。

また、企業が手形取引を避けているという記述もありますが、これは、上でも説明したように不渡りになるとダメージが大きいので、同じ借りるにしても極力手形を振り出す(発行する)のを避ける、という借り手側の自己防衛が広がっているということです。

企業が手形を出したがらない
http://www.nikkei.co.jp/


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