金融メルマガ第26号
元の記事の中には各ニュースごとに日本経済新聞の抄録のurlが書いてあったのですが、時間が経ってlinkが切れてしまったので省略し
てあります。このメルマガは現在も毎月発行されています。
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【金融メールマガジン 第26号】
日向野幹也(東京都立大学経済学部教授)
url: http://www.ann.hi-ho.ne.jp/higano
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欧州出張から戻りました。最初の訪問地英国では、スーパーマーケットの銀行業務がどのように行なわれているか、店舗を回り、本社でインタビューをしてきました。米国に比べると英国のことは日本にはあまり報道されないので、読者の皆さんには英国のスーパーマーケットのこと自体新鮮なニュースとして読んでもらえるのではないかと考えて、今回はこのことを中心に書くことにします(それに、貯まりに貯まった日本の新聞をまだ読んでいませんし<笑>)。『南君の金融日誌』では、第13章のp.170-174に対応します。
●英国スーパーマーケットのポイントカードとデビットカード
スーパーマーケット業界首位のテスコでも2位(数え方によっては3位)のセインズベリーでも、お客さんはレジでお得意様カードみたいなものを出してポイントを蓄積しています。これはちょうど日本のカメラ屋のポイントカードとよく似ています。また、支払いは現金またはデビットカードです。これもカメラ屋と同じですね。しかし店は食料品・日用品が中心ですから、お客さんの多くは週何回か通っている人が多く、その点ではカメラ屋さんと違います。ポイントカードとデビットカードは別
のカードですが、同じカードリーダーで両方読み取れるようになっているので、レジの係員も楽に作業できているように見受けられました。
写真1はロンドンのセ
インズベリー本社近くの小さな店舗のレジです。2枚を順々にリーダーに通せばいいのです。右手に持ってリーダーを通しているのはポイントカード、左手に持っているのは次に通すデビットカードです。
●金融・保険商品の販売
金融・保険商品の販売もスーパーの店舗で積極的に行なっています。写真2はロンドン郊外のハマースミス駅近くの店舗にあった旅行保険パックで、このパックを買ってレジに行けば保険導入パックを購入できます。また、写真にはないのですが、日本で言う定期預金のような貯蓄性預金も扱っているので、一度口座を開いておけば、あとから(現金でもいい
ですが)給与として受け取った小切手などもレジで貯蓄性預金に入金することができます。ただし普通預金とか当座預金にあたるような決済性の口座は提供していません。
デビットカードとしてはテスコ系のテスコパーソナルファイナンスの発行したものでも、他の銀行のものでも使えます。普通のキャッシュカードがデビットカードになる点は日本と同じです。日本にはまだないサービスとして、店舗での買い物額以上に引き出してくれと言えば、買い物代金との差額を現金で受け取れるので、買い物するついでがあればATMに寄る必要はありません。例えば買い物が5ポンドで、レジで20ポンド引いておいてくれと言えば、その場で15ポンドの現金が受け取れて、レシートには買い物5ポンドとキャッシュ引き出し15ポンドと記載されるのです。英国の在来銀行がリストラで支店を猛烈に削減したので、24時間営業の店舗の多いスーパーはこの点でも大変喜ばれているようです。
●英国パブはレストランの代わり
写真3はついでですが、泊まっていたホテルの周りを散歩していたら見つけたテスコの都市型支店に、寿司があって、2.99ポンドから1.59ポンドに値下げされていたので買ってみました。値下げされていたのは売れなかったからでしょう(なので、サーモンは食べずに残しました<笑>)。
写真4はパディントン駅とハイドパークの間くらいにあった地元民系の(観光客のいない)パブです。そういうパブに興味があるなら行ってみれば?ということでホテルの人に紹介されたのですが、一人で入るのは正直勇気がいりました。入ってみると皆グループやカップルで来ているか、あるいは常連のようなのです。幸い、常連だけれど一人で来たばかりの人がいたので話相手になってもらい、結局2時間くらい、4パイントもおごりおごられて充分飲んできました。その人によれば、伝統的英国料理はこうしたパブで出されるもので、特に田舎ではレストランは存在しないので、パブがレストランの代わりなのだそうです。このときは出かけたのが遅かったので料理セクションは閉まっていて試せませんでしたが、その人によれば、店外・店内の装飾が英国風に凝っているところほど味は良い傾向があるとのことです。英国の田舎を旅行する機会のある人は是非試してみてください。
他に定番のフィッシュ&チップスや最近流行のModern British Cuisineという比較的高級な系統のレストランも数軒行きましたが、いずれも予想以上に美味しかったので、80年代にいだいた「英国の外食はまずい」という感想は覆りました。ただ為替レートのせいとロンドンの物価高の両方で、フィッシュ&チップスのようなものでも日本から旅行するととても割高に思えます。
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