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2004年1月 9日 (金曜日)

金融メルマガ第23号

元の記事の中には各ニュースごとに日本経済新聞の抄録のurlが書いてあったのですが、時間が経ってlinkが切れてしまったので省略してあります。このメルマガは現在も毎月発行されています。申し込みはこちらからどうぞ。(2005年1月追記)

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【金融メールマガジン 第23号】

日向野幹也(東京都立大学経済学部教授)
url: http://www.ann.hi-ho.ne.jp/higano
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●今月からこのメールマガジンは毎月第二金曜の発行になります。

●都立大経済COE主催、日本評論社後援の「COEカレッジ」の申し込みは1月9日(金)締め切りです……が、実はemailの場合は10日(土)でも大丈夫です。まだ若干名の空きがあります。これが都立大キャンパスの外で「南君の金融日誌」を使う初めてのスクーリングです。

さてニュースですが

●まず酒販業界に関して

焼酎の出荷量が初めて清酒を抜きそう
http://headlines.yahoo.co.jp/

出荷量をリットルで測って比べて抜きそうだというのですから、アルコール含有量で測ると2倍から3倍くらいになっているのでしょう。食いしん坊的観点からは<笑>、焼酎の方が清酒よりも合わせる料理の範囲が広くとれると思います(例えば揚げ物に清酒という組み合わせは小生は苦手です……そんなことないぞ、という方はメールください<笑>)。大沢庵を仮にいま開業するなら焼酎、特に芋焼酎系は必須メニューになるでしょう。奄美の黒糖焼酎も美味ですよ。

●コンビニバンキングについて

消費者向けの新バンキングサービスは『南君の金融日誌』第13章の解説で扱いましたが、これに関連する話題としては

みずほ銀行のコンビニ向けサービス
http://www.nikkei.co.jp/

コンビニ決済を利用する消費者は、コンビニは銀行の代わりだと認識しているでしょう。しかし、コンビニ側から見ると、支店が消費者から受け取った現金を本店に送るには(現金のまま運ぶのでなければ)既存の銀行システムを使うしかありません。これは、そうした本支店間送金にかかる振込手数料が、消費者が銀行を使うときのような段階制ではなく、金額比例になるという変更です。これが銀行がコンビニを顧客として重視しているためであるとすると、おそらく銀行の間でそのサービスについても争奪戦が起きていると推測できます。

●銀行の不良債権買い取りについて

整理回収機構(RCC)の買い取り額が累計で2兆5千億円に
http://www3.nikkei.co.jp

『南君の金融日誌』第7章(p.92)に説明したように、RCCは国営のサービサーです。サービサーとは、銀行から貸出債権を買う業者のことで、銀行としてはいまはサービサーに不良債権を売って身軽になろうとしています。そのとき最初に貸し出した金額に比べるとかなり安い価格で(記事の中にもあるように1割くらいの値段で)しか売れないので、損失が確定します。従って利益の上がっている銀行ほど不良債権の売却もしやすいのです。
しかし最近は銀行が不良債権売却をしぶっていると株価が下がるという面もあるので赤字覚悟で処分するところも増えてきました。

RCCは最も初期からこのサービサー業務を行なっていました。今では内外含めて数十社のサービサーがこの市場に参入してきましたので、国営サービサーとしてのRCCの役割も変化しつつあると思えます。

最近、サービサーの実態をビビッドに描写した本を見つけました。

不良債権ビジネス研究会『ビジネスとしての不良債権』アーク出版、1400円、2003年8月

読みやすく面白く書かれています。ただ、著者が「デューデリ氏」という業界の人にインタビューして再構成した話になっていて、デューデリ氏は実名では登場しません(実名を出すと業界では生きていけないという配慮です)。
この点がほぼ唯一ひっかかる点で、従って例えば論文に引用するのは難しいのですが、それを別にすると、なるほどと思われる点が多く勉強になりました。

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