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2003年12月27日 (土曜日)

金融メルマガ第22号

元の記事の中には各ニュースごとに日本経済新聞の抄録のurlが
書いてあったのですが、時間が経ってlinkが切れてしまったので省略してあります。このメルマガは現在も毎月発行されています。申し込みはこちらからどうぞ。(2005年1月追記)

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【金融メールマガジン 第22号】

日向野幹也(東京都立大学経済学部教授)
url: http://www.ann.hi-ho.ne.jp/higano
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『南君の金融日誌』単行本が刊行されてから初めてのメルマガ配信です。

さて前号の後にはまず「武富士の盗聴事件」がありました。

http://www3.nikkei.co.jp/

武富士については公判もまだですし「サラ金なんてみんなあんなもんさ」と言うには早いと思います。サラ金を含むノンバンクについては、本では第6章に、またその中でも危ない金融業者については第3章に書いてあります。

足利銀行の実質国有化もありました。

http://www3.nikkei.co.jp/
http://www3.nikkei.co.jp/

日本長期信用銀行、日本債券信用銀行、りそな銀行など実質国有化はもう珍しいことではなくなってきました。それぞれについて少しずつ違いはあるのですが、一連の国有化で国民は重要な経験をしたと思います。それは銀行が破綻してもすぐ清算するものではなくて、一時国有化して公的資金を入れてから次の買い手を探すとか、国の主導で経営を立て直してから売るといったいろいろな方法があるというのを学んだはずだからです。これなら、破綻すれば即ペイオフになると誤解して破綻を必要以上に恐れることなく、むしろ冷静に、効率的に再建するには公的資金を入れるべきかどうかに注目するといった姿勢にもつながるかもしれません。

銀行の破綻自体については本ではあまりページを割けませんでしたが、破綻に至る経緯としてバブル崩壊・デフレ・不良債権、それに銀行経営と銀行行政の問題については第7章の後半でやや詳しく説明してあります。

もう一つ、本号発行直前になって大きなニュースが入ってきました。BSEがアメリカ産の牛肉にも発見されたために日本政府はアメリカからの牛肉の輸入を禁止したことです。

http://www3.nikkei.co.jp/

輸入牛肉の半分、国産を入れた牛肉全体でも三割がアメリカ産なので影響は甚大です。吉野家は取材に答えて、うちはアメリカ産牛肉ばかりだが、向こう一ヶ月の牛肉は「確保した」とコメントした、と報道されてしまいました。確保した、とは輸入禁止になる前に輸入したので量は一ヶ月分あるという意味だったのでしょうが、消費者の立場からは、そのアメリカ牛肉を食べさせられるのではないかとも聞こえかねません。吉野家の言い分では小牛のバラ肉のみなので危険はないということですが、これを消費者がどう判断するかです。

どちらにせよ吉野家だけでなく牛肉関連企業には大打撃のはずで、資金繰りはもちろん、利益も厳しくなる要因でしょう。吉野家は大企業ですが、焼き肉屋や精肉店には個人商店も多いはずです。個人商店であれば、売り上げが減ったり、在庫していたアメリカ産牛肉を使うまいとすれば新たに国産か豪州産あたりを仕入れねばならず、たちまち資金繰りが悪化するでしょう。こういった不測の事態のときに銀行など資金繰りを助けてくれる相手がいるといないとでは大違いで、そこが銀行に借りにくい零細企業の辛いところです。本では南君の会社(プチエコー)が上場を視野に入れる第10章くらいまではいつもこうした資金繰りが話題になっています。

●『南君の金融日誌』を使ったスクーリングの第一弾のご案内です。今回は、小生の勤務する都立大の近代経済学グループが選定された21世紀COEが主催する「COEカレッジ」の一環。東京・新宿で金曜夕方に三週間に渡って、日経新聞と『南君の金融日誌』を読み合わせる試みです。都民一般からも広く募集しますので、申し込みはお早めに。


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