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2002年10月17日 (木曜日)

金融メルマガ第8号

元の記事の中には各ニュースごとに日本経済新聞の抄録のurlが書いてあったのですが、時間が経ってlinkが切れてしまったので省略してあります。このメルマガは現在も毎月発行されています。申し込みはこちらからどうぞ。(2005年1月追記)

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【金融メールマガジン 第8号】

リースと流動性

日向野幹也(東京都立大学経済学部教授)
url: http://www.ann.hi-ho.ne.jp/higano

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●立ち飲み屋いろいろ

先日寄ってみたJR総武線某駅のガード下立ち飲み屋は、ある意味で典型的・伝統的なサラリーマン男性向けタイプでした。店は綺麗で手入れが行き届いており明るく、繁盛してます。60歳くらいの店主と若い手伝いの男性の二人でやっていて客も店側もまったく男性のみ。生ビールは冷えてほどよい泡でサッと出てくる。キノコの辛い炒め物300円はお徳。安いわりに、料理は結構まともな味でした。

客層は20代から60代までいずれもサラリーマン風。一人の客もいますが、多くは会社の同僚と来ている感じでした。上司と部下という感じの一団もいましたが、一説によると、そういう飲み会を嫌う若い社員たちも、立ち飲みなら1時間以上居ることにはならないし安いので参加しやすいとも聞きます。

一方、連載本文に登場するブラジルなスタンドバーも、実在の日本橋の店の様子を書いたのですが、上のようなガード下の店とは全然逆方向です。客層はむしろ女性の方が若干多いくらい。大半の人が酒屋コーナーで選んだワインを飲み、料理もどちらかというと洋風。料理の味はさきのガード下の店のほうがしっかりしているかもしれませんが、こちらには社交場の面もあって、この店で知り合ったらしい常連たちも多い様子でした。酒屋と兼営しているこの店をヒントに、次々号あたりで南君もまた新しい店舗を展開するかもしれません。

さて今回の連載の金融にかかわるキーワードは流動性とリース・クレジットあたりでしょうか。リースは金融の変型(プラスα)であるということはしっかり理解してください。

●リース

ホンダ、ロス市から燃料電池車を受注
http://www3.nikkei.co.jp/

ここでいうリースは、ホンダがロサンゼルス市役所に燃料電池車を売るときに、分割払いにする金融サービスと、メンテナンスのサービスを付けるということでしょう。

三井リース、西日本銀系リース会社買収
http://www3.nikkei.co.jp/

この記事の中には「企業の設備投資低迷でリース業界では淘汰が厳しい」と書かれていますが、リースはまさに南君の新店の内装工事と同じように設備資金に使われるものだからと言えます。

みずほ銀、中小企業向けの新融資
http://www3.nikkei.co.jp/

中小企業向けリースのノウハウを持つリース会社が借り手を選別し、銀行が資金を供給する。リース会社が借り手選別の責任をとるべく、債務を保証する(借り手がもし返せなくなったら借り手に代わって返済する)、という提携です。リース会社は資金が足りず、銀行は中小企業へのリースのノウハウが足りない。そこでお互いに足りないものを補い合うわけです。

●流動性

もう一つのキーワードである流動性は、連載本文では南君の手元にあるキャッシュやすぐ換金しやすい金融資産のことを指していました。これを手元流動性と呼ぶこともあります。

それに対して、流動性の高い資産そのもののことを流動性と呼ぶことがあります。

http://www3.nikkei.co.jp/

この記事では日銀が流動性を供給すべきだ、つまり日銀が民間金融機関から金融資産を買い取れば、その代金は日銀にある預金口座に振り込まれますから、民間にとっては、持っていた証券などが日銀への預金に換わることになり、手元流動性が増します。さらに、売買高の多い市場はそれだけ有利な換金の機会が多いので、流動性の高い市場である、といった用法もあります。

このように流動性は、
(1)金融資産の換金性
という元の意味から、
(2)企業や個人の手元流動性の量
という意味、次に、
(3)その総計つまりマクロでの流動性の高い資産の量
という意味、さらには
(4)市場や取引所の取引量・頻度が多ければ資産の換金性が高い
のでこれを流動性の高い市場と呼ぶ、といったように、多様に使われます。しかし基本は換金性なので、それさえしっかり分かっていれば他の意味に使われていても読みとれるようになるでしょう。

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