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2002年9月の1件の記事

2002年9月18日 (水曜日)

金融メルマガ第7号

元の記事の中には各ニュースごとに日本経済新聞の抄録のurlが書いてあったのですが、時間が経ってlinkが切れてしまったので省略してあります。このメルマガは現在も毎月発行されています。申し込みはこちらからどうぞ。(2005年1月追記)


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【金融メールマガジン 第7号】

営業譲渡のねらい

日向野幹也(東京都立大学経済学部教授)
url: http://www.ann.hi-ho.ne.jp/higano

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今号では南君が居酒屋大沢庵を譲渡することになりました。本文の最後ではプチエコー社を会社まるごと譲渡してプチエコー社が解散するように書きましたが、実は直前で気が変わって、プチエコー社は存続し、大沢庵だけを営業譲渡することになります(次号)。営業譲渡すれば南君にはキャッシュが入り、そのキャッシュはプチエコー
社の資産ですから会社は存続可能です。そのキャッシュの一部を使って立ち飲み屋を開業するわけです。

●立ち飲み屋について

立ち飲み屋は東京では最近数年ブームになりましたが、大阪では昔から隆盛しているようです。大阪の立ち飲みを詳しく紹介しているサイトを見つけました。

http://www.osk.3web.ne.jp/~h2onishi/index.html

おいしそうですね〜 このサイトを作っている人は、パソコン(Macintosh)もアナログカメラ(ContaxT2)も僕と同じなので何となく親近感がわきます<笑>。大阪方面の読者のかた、立ち飲み屋体験記や情報などをお寄せくださると幸いです。

●営業譲渡について

南君の居酒屋のような営業譲渡はしばしば行われています。新聞に載っているのは大企業がからむものばかりですが、その中でもよく名の知られている企業のものとしては、下記のようなケースがあります。

田辺製薬、動物薬事業を営業譲渡
http://www3.nikkei.co.jp/

田辺製薬は動物薬部門(家畜向け中心)を顧客や社員つきでそのまま他社(大日本製薬)に譲渡します。大日本製薬はもともと動物薬の専門メーカーですが、これまで小動物向け中心だったので、家畜向けを加えて品揃えを強化するとか、あるいは開発の相乗効果を狙うといった目的があるのでしょう。他方、田辺製薬は人間向けの医薬品と動物向けを両方持っているメリットがないと判断したか、動物向け事業をキャッシュに換えて人間向け事業に使ったほうがいいと考えたのかもしれません。

このケースがそうかどうかは分かりませんが、一般には、買った側は、手に入れてみてから、自社にもとからあった経営資源や人材と重複があると気づけば、リストラする可能性が小さくありません。もしそうなれば譲渡された事業について設備閉鎖や解雇が起きます。また、譲渡する前に、譲渡すると従業員が転籍になることを本人た
ちに知らせて、拒否されると解雇するようなことも起きているようで、厚生労働省が対策に乗り出しました。

営業譲渡後のリストラ制限
http://www3.nikkei.co.jp/

また、上のケースではキャッシュで譲渡するようですが、株式発行(増資)がらみになると証券会社にも出番があります。営業譲渡ではなく会社まるごとの買収でも同様です。

東邦薬品子会社、大衆薬卸部門を営業譲渡
http://www3.nikkei.co.jp/

売る側(東邦薬品子会社)が得たキャッシュの一部を、買う側の会社(健翔)に出資する(増資を引き受ける)ケースです。推測ですが、この出資の効果としては、売りに出す物について、自分が持っているよりも相手が持っているほうがうまく行くと判断していることを自ら証明しand/or売る物の中味が悪くないことを行動で保証するとい
った効果がありそうです。

また、再建途上の企業のかかえている事業も、劣化しないうちにキャッシュに換えたほうが債権者のためになることから、営業譲渡に関する規制が緩和されるようです。

更正計画前の営業譲渡
http://www3.nikkei.co.jp/


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