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2002年7月16日 (火曜日)

金融メルマガ第5号

元の記事の中には各ニュースごとに日本経済新聞の抄録のurlが書いてあったのですが、時間が経ってlinkが切れてしまったので省略してあります。このメルマガは現在も毎月発行されています。申し込みはこちらからどうぞ。(2005年1月追記)

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【金融メールマガジン 第5号】

中小零細向け融資の新しい動き

日向野幹也(東京都立大学経済学部教授)
url: http://www.ann.hi-ho.ne.jp/higano

●ワールドカップが終わりましたが、南君の居酒屋(わけあって大沢庵と命名し ました)と同様、おおかたの飲食店は6月はまった く不振だったようですね。スポーツバーやアイリッシュパブなど は観戦客で賑わったようです。某アイリッ シュパブでは、以前 は日本式に帰りにまとめて清算する方式だったのが、欧米バー式の現金交換方式に変わっていました。どうしたのか尋ねてみる と、ワー ルドカップ開催期間に入ってから外国人の飲み逃げが続出したので急遽本国式 に変えたのだそうです。

うんと厳密に言えば、飲み食いしてから帰りに払うまでの数十分間は、店はお客に代金を貸していることになります。その意味で は飲み逃げ・食い逃げは借金を返さずに踏み倒そうとする行為です。店にとっては不良債権の発生です。現金交換方式への変更は、 店内での金融サービス提供の廃止と同じこととも言えますね。

●連載の今月号では大沢庵のお客さんだった橋本さんが手形詐欺に 遭いました。このような詐欺が横行するのも、中小零細企業が慢 性的に資金繰りに苦しんでいるからです。1990年代末からの銀行 の貸し渋りによってこの傾向はますます強まりました。マクロで は超低金利なのに、中小零細企業が借りられる資金の金利は10%
を超えるほど潜在的な資金需要が強いのです。手形詐欺や『ナニ ワ金融道』の世界はそこにつけ込むのです。

●しかし潜在的に需要が多ければ、ビジネスとして中小零細企業のオーナー経営者への融資が有望であることがはっきりしてきたので、合法的なローン業者のこの分野への参入が増えてきました。8日の記事にあるアイフルのシティズ買収もそうした動きの一つ です。アイフルのような消費者金融会社が中小零細企業への融資にも乗り出すケースはかなり多く見受けられます。中小零細企業 ローンはオーナー経営者個人の信用調査が特に重要なので(だか らこそ「事業者ローン」と呼ぶのでしょう)、消費者ローンと近い面があり、事業者ローンと消費者ローンの間で相互進出が起き ています。こうした参入が続けば徐々に金利は下がっていくと予想できます。

アイフル、熊本の事業者ローン会社を買収
http://

日立キャピタル、消費者ローンに進出
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また、遅ればせながら銀行も、従来よりは高めの金利をとって、担保のない中小企業ローンを提供し始めました。不良債権問題の 深刻化で銀行はリスクのある貸出をますます避ける傾向にあったのですが、今後は少々はリスクをとらないとリターン(利益)も 稼げず、リターンがないと不良債権の償却も続けられないので、 借り手に応じて金利をはっきりと差別化するという動きが見られます。

三井住友銀、無担保融資を拡大
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●8月号の段階では南君の大沢庵は銀行からは融資を受けられな 零細企業ですが、無担保融資を受けられる時期が来るのでしょう か。ビルオーナーの堀之内さんとの共同事業(カラオケ「プチエ コー」)は来月さらに大きな変化があります。

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